日本ではチップを渡す習慣はあまりありませんが、おひねりやYouTuberへの投げ銭(スパチャ)を渡した経験がある人もいるのではないでしょうか。
チップやおひねりをもらった場合、贈与税または所得税の対象になり、確定申告が必要になることもあります。
ただどちらの税目の対象になるかはケースバイケースなので、今回はそれぞれの課税対象になるケースについて解説します。

目次
贈与税の対象になる財産とは
贈与税は、財産を無償でもらった場合に対象となる税金です。
「贈与」については民法で規定されており、無償で財産をもらった場合は贈与に該当します。
民法第549条(贈与)
贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。
贈与に該当する例としては、お年玉やプレゼントをもらった場合です。
ただ贈与税は年間110万円の基礎控除がありますので、子どもが年玉をもらった程度では贈与税を支払うケースはほとんどありません。
一方で、両親や祖父母から車のプレゼントを受けた場合や、住宅購入資金を援助してもらった時は110万円を超えることもありますので、その際は贈与税の申告が必要になります。
仕事上でもらったチップ代は所得税の対象になる
所得税は、働いて得たお金(所得)に対して課される税金です。
税務署職員が配属前に税金を学ぶ教材として使用する「税大講本」によると、個人から発生した経済的利益を「所得」としています。
所得の概念は、元来、経済概念であるが、その内容はある個人について発生したこれらの経済的な利益であり、この経済的利益を社会通念上「所得」と呼んでいる。(引用元:国税庁)
チップは行われたサービスの対価として支払いますので、チップ代をもらった人は仕事上で得た経済的利益であり所得です。
またYouTuber・VTuberを行っている人も同様で、スパチャ(投げ銭)が仕事上で得た利益とするならば、スパチャも所得税の対象となる収入です。
なお実際に対象となる税目は個別の事情を鑑みて判断しますので、自分の収入が所得税に該当するか否かは、税務署または税理士にご相談ください。
贈与税と所得税が二重に課税されることはない
チップ代や投げ銭が贈与税と所得税のどちらの対象になるかは、個別の事情により違います。
どちらかの課税対象になるとしても、両方の税金が課されることはありません。
所得税には法律で非課税規定が存在し、相続や個人からの贈与は所得税の非課税対象となるため、投げ銭が贈与税に該当すれば所得税は非課税です。
また対価として得た収入は贈与には該当しないため、所得税の対象になる収入が贈与税として課されることもありません。
申告手続きが必要なのはお金をもらった側の人

贈与税や所得税の申告する人は、チップや投げ銭をもらった側の人です。
確定申告期間は、通常翌年2月16日から3月15日までとなっています。
令和2年分の申告期間は令和3年4月15日と、新型コロナウイルスの影響で1か月延長されています。
贈与を受けた場合、贈与金額が年間110万円以内なら贈与税は非課税なので、申告する必要はありません。
ホテルの従業員として働いている人がチップを受け取った場合、雑所得に該当する可能性はありますが、給与所得以外の所得が20万円以下なら申告不要です。(年末調整済であることが条件です。)
最近は副業でYouTubeを始めている人も増えていますが、申告すべき収入を申告していないと税務署が税務調査に訪れるかもしれません。
税金は「知らなかった」で言い逃れはできませんので、申告が必要な場合には忘れずに手続きしてください。(執筆者:元税務署職員 平井 拓)