税務調査は申告書を提出後、しばらくしてから実施されることもあります。

ただ税務調査をするタイミングが確定申告直後ではなく、なぜ数年経過した後に税務調査をするのか、少し疑問に思いますよね。

そこで本記事では、申告してから数年後に税務調査が実施される理由について、元税務署職員が解説します。

税務署内での税務調査の優先度が低かった

税務署って刑務所よりこわい

税務署は所得税や法人税など、多くの税金を扱っており、所得税の申告書の提出件数は、毎年2,000万件以上です。

国税組織の職員数は約5万4,000人しかいないため、すべての申告について税務調査を行うのは現実的に不可能です。

そのため国税組織では、税務調査の効率性と効果性を上げるために、優先度の高い申告から税務調査を実施する傾向にあります。

税務調査を受けやすい申告

税務署の中で、税務調査の優先度が高い申告は3種類です。

・ 明らかな申告誤りがある
・ 虚偽申告の疑い
・ 無申告

提出された申告書に明らかな計算ミスや申告漏れがあれば、確定申告書を提出してすぐに税務調査により指摘することがあります。

しかし脱税する目的で過少に申告している場合や、申告書を提出していない人を調査する際は、資料や情報を集めるのに時間を要しますので、申告書を提出した直後に調査を実施することはあまり多くありません。

申告内容が前年と大きく変わっている

前年と今年の申告内容に大きな違いがあれば、相違点を確認するために複数年分の申告書をまとめて調べることもあります。

会社員・公務員の方は基本的に年末調整で税金の精算するので、確定申告を毎年する人はあまりいません。

それに対し法人や個人事業主は、基本的に毎年確定申告手続きが必要であり、双方とも利益に対して課される税金です。

同じ売上金額でも、経費が多ければ利益は減りますし、逆に経費を削減すれば利益が増加しますので、経費を増やして利益を少なくする節税手法はよく用いられます。

合法的に経費を増やして、納税額を抑えることに特段の問題はありませんが、経費を水増ししたり、本来経費にできない支出を経費計上するのは違法です。

今年申告した内容に誤りや脱税の事実があれば、過去に同様の誤りがないか調べますので、法人や個人事業主は、複数年分同時に調査を受けることが多いです。

数年後に不正や申告漏れの情報を把握することもある

税務署は申告期限を過ぎてから得ている情報も多く、数年後に脱税の証拠となる情報を掴むことも珍しくありません。

不正の事実を把握すれば、数年前の申告であっても調査を実施します。

また税務調査を実施した際、取引先の不正を把握することもあり、そのような場合には芋づる式で調査が行われます。

税金ってなんか誤魔化せないのよね

申告期限から3年は税務調査が来なくなる一つの目安

確定申告書は毎年提出され、毎年調査しなければいけない申告書が出てきます。

法律上の調査可能期間が存在する以上、時効が到来するまでは税務調査を受ける可能性はあります。

ただ税務調査の優先度の高いものは、申告期限から1~2年以内に実施しますので、後から不正の証拠を把握した場合を除くと、期限から3年経過している申告書を調べることは稀です。

もっとも、指摘事項がなければ税務調査を受けることはありませんので、正しい申告書を作成することが、税務調査を回避する1番の秘訣です。(執筆者:元税務署職員 平井 拓)