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「所得区分誤り」は余計な税金を支払う原因に 所得の種類、所得金額の算出方法を解説

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「所得区分誤り」は余計な税金を支払う原因に 所得の種類、所得金額の算出方法を解説

所得税には10種類の所得区分が存在し、区分ごとに所得の算出方法は異なります。

計算を間違えれば所得金額を正しく算出できませんので、申告納税額(還付金額)に過不足が生じる可能性もあるので要注意です。

誤りに気が付かないと税金を納めすぎたままになりますので、今回は間違えやすい所得の種類について解説します。

間違いやすい所得区分

同じ年金でも公的年金と個人年金では計算方法が違う

年金収入は雑所得に該当しますが、年金には公的年金等と個人年金の2種類あり、所得金額の算出方法はそれぞれ異なります。

国民年金などの公的年金の場合、年金収入から公的年金等控除額を差し引きます

公的年金等控除額は、年金受給者の年齢や公的年金等に係る雑所得以外の所得に応じて控除額が決まっているのが特徴です。

保険会社等で積み立てた個人年金は、その年に受け取った年金の額から、その年金に対応する払込保険料(掛金)を差し引いて所得金額を算出します

公的年金と個人年金の2種類の年金を受け取っている人は、個々に所得金額を計算し、その合計額が年金の雑所得です。

不動産の売却利益は不動産所得ではなく譲渡所得の対象

不動産に関する所得は、不動産所得と譲渡所得の2種類あります。

不動産所得は、不動産から発生した収入が対象となる所得である一方で、不動産の売却金額は譲渡所得の対象です。

不動産所得は収入から経費を差し引き、算出された不動産所得は給与所得や年金所得と合算し、課税される所得金額に応じた税率を乗じます

譲渡所得は、売却金額から購入した当時の取得金額を差し引き、譲渡所得を計算します。

売却金額よりも購入金額の方が大きければ赤字となり、譲渡所得税を納める必要はありません

また譲渡所得は売却した不動産の所有期間によって、課される税率が変化するのが特徴です。

譲渡した年の1月1日時点の所有期間が5年以下だと短期譲渡所得に該当し、利益金額の大小に関わらず39.63%(※)の税率が課されます

※譲渡所得税+復興特別所得税+住民税の合計

不動産に関する所得について

上場株式等の配当金の所得区分は選択制

上場株式等の配当所得には総合課税と分離課税の2種類あります。

配当所得は確定申告の対象ですが、確定申告不要制度を選択できる配当については、申告しなくても問題ありません。

原則は総合課税の対象ですが、分離課税を選択して所得税の計算をすることも可能です。

総合課税と分離課税の違いは、税率と配当控除の有無です。

総合課税は他の所得との合計金額で税率を算出するため、所得が多い人は課される税率が高くなります

一方、分離課税は配当所得の大小に関係なく税率は固定です。

配当控除は税額控除の1つで、総合課税を選択した場合のみ適用できます。

配当所得の最大10%を配当控除として差し引くことができるため、総合課税を選択すると税金が還付されるケースもあります。(配当控除が適用できない配当の種類もあります。)

なお確定申告する上場株式等の配当所得を、総合課税と分離課税に振り分けて申告することはできません

分離課税を選択した場合は、上場株式等の配当所得は全額分離課税になるのでご注意ください。

所得区分が不明な時は専門家に尋ねることが大事

所得の種類によっては、申告不要や所得区分が選択制になっているものもあるので、税金知識がないと判断を誤り、余分に税金を納めてしまう可能性もあります。

また本来の納税額よりも過少に申告した場合には、税務署から指摘を受けることも想定されます。

そのため所得税の計算方法がわからない時は、税理士などの専門家や税務署に相談して、正しい申告ができるようにしましょう。(執筆者:元税務署職員 平井 拓)

《平井 拓》
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執筆者:元税務署職員 平井 拓 平井 拓

12年勤務した税務署を退職し、ライターとして活動してます。税務署時代は資産課税部門に所属しており、相続税・贈与税・所得税が専門でした。 脱税は嫌いですが、節税は好きです。少しでも税金を身近に感じていただける文章をお届けします。 寄稿者にメッセージを送る

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