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「医療費控除」の基礎知識4つ 範囲、計算式、税率、費用対効果を解説します

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「医療費控除」の基礎知識4つ 範囲、計算式、税率、費用対効果を解説します

医療費控除は病院の治療費などが発生した際、確定申告をすることで所得税が還付される制度です。

今まで医療費控除を適用したことがなく、今年はじめて制度を利用する方もいらっしゃると思います。

そこで本記事では、はじめて医療費控除を適用する方が知っておくべき基本的なポイントについて解説します。

年末までに知っておきたい基礎知識

1. 医療費控除の対象となる範囲

医療費は病院の治療費や診察代のほか、医薬品の購入費も医療費控除の対象です。

歯の噛み合わせを治す歯列矯正も医療費控除に該当しますが、歯列矯正が美容目的で行われた際は対象外です。

医療費控除は1月1日から12月31日までに支払った医療費の合計金額が対象となり、確定申告を行う納税者本人だけでなく、生計を一にする配偶者や親族のために支払ったものも含まれます

治療を受けた年と医療費を支払った年が異なる場合、医療費は支払った年分の対象となるのでご注意ください。

たとえば令和3年12月に入院して手術を行い、令和4年1月に退院して医療費を支払った場合、令和4年分の確定申告の際に医療費控除を適用することになります。

2. 医療費の支出がそのまま控除されるわけではない

医療費控除は、次の計算式により算出したものを所得控除として適用しますので、「医療費 = 医療費控除の額」ではありません

医療費の控除金額の計算式

医療費控除の計算式

医療費 – 保険金等の補てん金額 – A = 医療費控除額

A = 次のいずれか低い金額

・ 10万円

・ 総所得金額等 × 5%

総所得金額等が200万円を超える方であれば、医療費が10万円を超えていないと医療費控除額は発生しませんので、年間の医療費が10万円を超えた場合に医療費控除を適用するか検討してください。

ただ10万円を超える医療費がある場合でも、保険金等による補てん金は医療費から除く必要があるので注意しましょう。

たとえば出産時に出産一時金の支給を受けた場合、出産にかかった費用から一時金を差し引いた差額が医療費控除の対象となります。

3. 医療費控除は所得が多い人ほど還付金が多くなる

医療費控除は控除額がそのまま還付されるのではなく、医療費控除額に所得税の税率を乗じた金額が実質的に還付される金額です。

所得税は高額所得者ほど税率が高くなる仕組みなので、医療費控除額が同じでも、税率が高い人の方が節税効果は大きいです。

医療費控除額が10万円の場合、税率10%なら所得税1万円が還付される一方、最高税率45%に該当する人は同じの医療費控除額10万円でも、4.5万円の節税効果があります。

国税還付金通知書

4. 医療費控除の申告は費用対効果を考えること

10万円を超える医療費が発生した場合、医療費控除を適用して還付金を受ける可能性があります。

しかし還付される金額が少額であれば、還付金額よりも確定申告手続きにかかる費用が高くなるため、医療費控除だけを目的として確定申告するメリットは少ないです。

確定申告をする予定がある方は、医療費控除も一緒に適用して申告すべきですが、医療費控除のみを適用する場合は、費用対効果を考えて申告手続きするかご検討ください。(執筆者:元税務署職員 平井 拓)

《平井 拓》
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執筆者:元税務署職員 平井 拓 平井 拓

12年勤務した税務署を退職し、ライターとして活動してます。税務署時代は資産課税部門に所属しており、相続税・贈与税・所得税が専門でした。 脱税は嫌いですが、節税は好きです。少しでも税金を身近に感じていただける文章をお届けします。 寄稿者にメッセージを送る

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