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相続税の納税資金が足りない時に選択肢となる「延納・物納制度」とは

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相続税の納税資金が足りない時に選択肢となる「延納・物納制度」とは

相続税を支払うために、相続した不動産を手放したなどの話を聞いたことがあるかもしれません。

相続税は取得した財産に応じて支払うことになるため、納税資金が足りなければ相続財産を処分することも選択肢です。

ただ売却するのが難しい相続財産もありますので、今回は相続税が支払えない時に活用できる納税方法を紹介します。

相続税の納税資金が足りない

相続税は期限までに現金一括納付が原則

相続税の納税期限は申告期限と同日であり、現金で一括納付するのが原則です。

相続財産が多い相続人ほど相続税を多く支払うことになりますが、相続した財産に現金・預金がほとんどない場合、納税資金の確保が大変です。

上場株式などの現金化しやすい財産があれば、納付期限前に売却して納税資金を確保できますが、不動産はすぐに売れるとは限りません

そのため納付期限までに一括納付が難しいときは、次にご紹介する「延納制度」・「物納制度」の活用もご検討ください

相続税を分割納付する「延納制度」

延納制度は、相続税を分割して納税することができる制度で、次の要件を満たした場合に利用できます。

【延納制度の適用要件】

・ 相続税の納税額が10万円超

・ 金銭納付が困難で、延納する金額が納付困難な金額の範囲内

・ 担保提供
(延納税額が100万円以下で、延納期間が3年以下の場合は不要)

・ 相続税の納付期限までに延納申請書および、担保提供関係書類を提出

相続財産の種類や不動産等の割合によって異なりますが、延納できる期間は最長20年です。

延納期間中は利子税を納付することになりますが、通常納付が遅れた際に納める延滞税よりも利率は低いです。

延納制度には審査があり、税務署は延納申請期限から3か月以内に延納の許可または却下の判断をします。(延納担保などの状況によって、最長6か月まで判断が延長する場合もあります。)

延納制度の要件を満たしていない場合など、申請しても延納は認められないケースもありますので、延納制度を利用する際は事前に要件をご確認ください

現金の代わりに相続財産で支払う「物納制度」

物納制度とは、相続財産により納付することができる制度です。

相続税を納付期限まで金銭納付するのが困難な場合、納付を困難とする金額を限度として物納が認められており、利用する際は申請書および物納手続関係書類の提出が必須です。

物納に充てることのできる財産には優先順位がありますので、相続人が物納したい財産を選択できるとは限りません

また物納による相続税の納税は最終手段と位置付けられているため適用要件は厳しく、納付期限までに一括納付できる場合や、延納制度を利用して納付できる状況下で物納申請が認められる可能性は低いです。

申請時の手続きや提出書類は多いため、物納制度を利用する際は税務署の担当職員と事前に協議する必要があります

相続税対策は生前から行わないと間に合わない

相続税の申告・納付期限は相続開始日の翌日から10か月以内と、相続が発生した後に行う相続手続きを考えると、対策する時間は限られています。

遺産分割において預金を取得できなかった相続人は、自己資金により相続税を支払うことになりますので、相続税の納税額がどの程度になるか、事前に把握しておくことも大切です。

延納制度・物納制度は申請手続きが必須ですので、利用する際は相続税の申告書を提出する税務署に1度相談することをオススメします。(執筆者:元税務署職員 平井 拓)

《平井 拓》
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平井 拓

執筆者:元税務署職員 平井 拓 平井 拓

12年勤務した税務署を退職し、ライターとして活動してます。税務署時代は資産課税部門に所属しており、相続税・贈与税・所得税が専門でした。 脱税は嫌いですが、節税は好きです。少しでも税金を身近に感じていただける文章をお届けします。 寄稿者にメッセージを送る

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