相続税は平成27年に大幅な増税が行われましたし、最近も消費税が増税するなど、税負担が軽くなる雰囲気はありません。

また生前贈与を活用した相続税対策は、将来的に利用できなくなる可能性が出てきましたので、今のうちから相続税対策をすべき理由について解説します。

将来的に相続税と贈与税は 一体化する見込み

生前贈与で相続税が節税になる理由

相続税は相続開始時点において、亡くなった人が保有している財産に対して課される税金です。

相続開始時点で1億円の財産を保有していれば、1億円に対して相続税が課されることになりますが、相続財産が相続税の基礎控除額以内であれば相続税は非課税です。

相続税の節税手段として、特例制度を活用する方法もありますが、生前中に財産を贈与することで相続税の対象財産を減らす方法もあります

節税は手元に多くの財産を残すために行いますので、お金を浪費することで相続財産を減らしても意味がありません。

相続人に贈与すれば財産を減らすことなく相続税を節税できるため、相続税対策として生前贈与は利用されています。

 

将来的に相続税と贈与税は一体化する見込み

税金に関する法律の改正は毎年行われていますが、令和4年度税制改正大綱案では、相続税と贈与税を一体化する方向性が示されました。

相続税と贈与税を一体化した場合、生前贈与した財産は相続税として課税される可能性もあり、現在の生前贈与を活用しての相続税対策が講じられなくなるかもしれません。

また贈与財産を相続税に加算する期間も、現在の3年から5年または10年と、対象範囲が広がることも考えられます

そのため生前贈与による相続税対策は、法律が改正される前に行った方が節税効果は高いかもしれません。

毎年利用できる110万円控除は最大限活用すべき

贈与税には110万円の基礎控除額があり、贈与財産が110万円以下であれば贈与税は非課税です。

親から子へ1,000万円を一度に贈与するとなれば、177万円(特例税率を適用した場合)の贈与税を支払うことになります。

しかし110万円控除は毎年利用できるため、100万円の贈与を10年間行えば、1年当たりの贈与金額は110万円以内に収まることから、贈与税を支払わずに合計1,000万円の財産を移動させることが可能です。

なお、毎年100万円の贈与を行うことが当初から決まっていた場合、定期贈与と認定されることがあります。

定期贈与とみなされた場合、贈与した最初の年に贈与金額の総額が贈与税の課税対象となりますので、贈与のしかたには注意してください。

相続開始前3年の贈与は相続財産に加算される

相続人が被相続人から、相続開始日の3年前から死亡日までの間に贈与を受けていた場合、その贈与財産は相続税の計算に加算しなければなりません。

贈与金額が贈与税の基礎控除額以内であっても、相続税の加算対象となりますので、相続が発生する直前に相続人へ贈与しても相続税の節税効果は見込めません。

そのため110万円控除を活用しての節税は、生前中に時間をかけて行う必要があります。(執筆者:元税務署職員 平井 拓)