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失業保険受給中に扶養に入れるのか? 要件、何が「収入」に含まれるのか、注意点を解説

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失業保険受給中に扶養に入れるのか? 要件、何が「収入」に含まれるのか、注意点を解説

多くの場合、在職中よりも退職後に活用することとなる雇用保険制度ですが、その中でも退職後に失業保険(正しくは基本手当、以下、失業保険)をもらいながら扶養に入れるかという問題があります。

今回は失業保険受給と扶養の関係について解説します。

失業保険受給中でも扶養に入れるか

被扶養者となるには

社会保険上の被扶養者となるには、被保険者と生計維持要件を満たしておかなければなりません

これは被保険者と同一世帯にある場合は、

  • 年収130万円未満(60歳以上または障害年金を受けられる程度の障害を有する場合は180万円未満)
  • かつ、被保険者の収入の2分の1未満であること

です。

なお、別世帯の場合は年収の考え方は同じであるものの、被扶養者の年収が被保険者からの仕送り額より少ないことが要件となります。

収入の考え方

そもそも退職前後を通して、被扶養者となるとする者の収入状況は大きく変わるのが普通です。

よって、被扶養者となろうとする者の収入は、被扶養者に該当する時点、認定された日以降の年間の見込み額を基準とします。

そうでなければ退職するタイミングにもよりますが、既に在職中の収入で130万円を超えていることもあり得るため、理論上はその時点で扶養に入る年収要件をオーバーしてしまっていることが起こり得ます。

何が収入に含まれるか注意

失業保険受給中には入れるのか?

まず、被扶養者の収入に含まれるものを認識しておく必要があります。

短期のアルバイトをする場合、その収入が含まれるのはもちろんですが、年金や失業保険も含まれます

詳述すると、年金には大きく分けて3つの種類があり、老齢年金、障害年金、遺族年金です。

老齢年金以外は「非課税」となりますが、3つの種類全て被扶養者の年収には含まれます。

次に失業保険も「非課税」となりますが、被扶養者の年収には含まれます。

失業保険については、日額に換算して3,612円以上を受給できる場合は、扶養に入ることはできません

なぜなら年額に換算すると130万円を超えてしまうからです。

ただし、3,612円以上の失業保険を受給できる権利をもっていても、扶養に入れる期間があります。

これは、端的には待期期間や給付制限期間といい、現実には失業保険を受給できない期間です。

この期間に限って被扶養者に入ることで、被保険者のみが保険料を納付することで足ります。

扶養の注意点

例えば妻が夫の扶養に入る場合、年金制度については国民年金第2号被保険者である夫の「被扶養配偶者」にあたる妻は国民年金第3号被保険者となり、健康保険料だけでなく、年金についても保険料を納める必要がありません

他方、例えば子供の扶養に入る場合、当該妻は子供との関係は「配偶者」ではないので、年金制度については第3号被保険者にはならないため、国民年金第1号被保険者として保険料を納付しなければなりません

もちろん健康保険料は被扶養者である限りは納付する必要はありませんが、年金とは概念が異なりますので注意が必要です。

この手続きが抜け落ちてしまうと、年金は「滞納」扱いとなり、将来受けとれる年金額が減額されるというデメリットにつながります。

また、被保険者と被扶養者が別居している場合、客観的な仕送り確認として口座振り込みの写しなどを求められることと、協会けんぽでは「被扶養者現況申立書」といい、書面にて被扶養者の現況が確認されます。

これは保険給付の適正化や、そもそも現時点でも引き続き被扶養者としての要件を満たしているのかを確認する意味があります。

提出がない場合、提出期限を過ぎてしまうと勧奨が行われます。

年金や健康保険の手続きに注意しよう

「非課税」でも収入に含まれる点に注意して活用しよう

税法上、「非課税」とされているものも、社会保険上では収入に含まれるケースは少なくありません。

ただし、失業保険受給対象者でも扶養に入れる期間はありますので、その間は制度を上手に活用しましょう。(執筆者:社会保険労務士 蓑田 真吾)

《蓑田 真吾》
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蓑田 真吾

執筆者:社会保険労務士 蓑田 真吾 蓑田 真吾

社会保険労務士 独立後は年金などの社会保険制度、人事労務管理に関する講演活動を行い、また、労務トラブルが起こる前の事前予防対策に特化。現在は有効的な社会保険制度の活用、様々な労務管理手法を積極的に取り入れ、企業をサポートしています。 【他保有資格】2級ファイナンシャル・プランニング技能士、労働法務士 等 寄稿者にメッセージを送る

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