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【相続税】遺産の分け方でも節税できる金額が変わる

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【相続税】遺産の分け方でも節税できる金額が変わる

相続人が遺産を取得できる割合(相続権)は民法で規定されていますが、相続人全員が合意していれば、遺産をどのように分割しても問題ありません。

一方、相続税は遺産を「誰が・いくら」取得したかによって、納税額が変動することがありますので、今回は遺産分割と相続税の節税の関連性について解説します。

相続税

相続人は取得した金額に応じた相続税を支払うことになる

相続税は、亡くなった人の財産の総額に対して課される税金であり、取得した遺産の割合に応じて各相続人が相続税を納めることになります。

たとえば相続税の総額が50万円の場合、相続財産を6割取得した人は30万円、4割取得した人は20万円を納めなければなりません。

また相続税は遺産総額が大きいほど税率が高くなる仕組みなので、相続した財産の額が小さくても、亡くなった人が多くの遺産を保有していた場合、課される相続税は重くなります。

相続税の特例制度は誰が遺産を取得したかが重要

相続税には特例制度が多く用意されており、うまく活用できれば大幅に節税することも可能ですが、注意点もあります。

「小規模宅地等の特例」は、土地の相続税評価額を最大8割減額できる制度ですが、自宅の敷地に対して特例を適用する場合原則として配偶者または同居親族が自宅の敷地を相続するのが条件です。

「配偶者の税額軽減」は、配偶者の取得した財産が1億6,000万円以下なら相続税を全額控除できる制度です。

そのため配偶者が全財産を相続することで、相続税をゼロにする節税方法もありますが、配偶者の税額軽減の対象となるのは配偶者が取得した財産に限られます。

配偶者が相続する遺産が少なければ、配偶者の税額軽減の適用で控除される相続税も少なくなりますので、遺産の分け方次第で節税できる金額は変動します。

配偶者の税額軽減を最大限活用した際の落とし穴

相続税の基礎控除額を超える遺産があったとしても、配偶者の税額軽減を最大限活用すれば、相続税の納税額をゼロまたは大幅に減少させることができます。

しかし大半の遺産を取得した配偶者が亡くなった場合、引き継いだ遺産と配偶者の固有財産の合計が、二次相続における相続税の課税対象となるので要注意です。

また二次相続は配偶者が先に亡くなっている分だけ、相続税の基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の人数)が少なくなります。

夫婦共働きだった場合や、配偶者が両親から相続財産を引き継いでいるケースでは、相続税の対象となる財産が高額になることもありますので、配偶者がすべての遺産を引き継ぐことが必ずしも相続税の節税になるとは限りません

相続税の節税は二次相続も考慮して対策すべき

相続財産が基礎控除額以内であれば、遺産をどのように分割しても相続税は課されませんので、夫婦が高齢の場合には子が相続する財産を増やすなど、二次相続のことも考えて遺産分割を行うことも選択肢になります。

相続税の特例制度は、申告期限までに遺産分割協議が完了していることが前提であり、特例を適用するためには申告手続きも必要です。

相続税の申告期限は、相続が発生した翌日から10か月以内となっていますので、相続税の申告が必要になるご家庭においては、早めに話し合いをはじめた方がいいでしょう。(執筆者:元税務署職員 平井 拓)

《平井 拓》
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平井 拓

執筆者:元税務署職員 平井 拓 平井 拓

12年勤務した税務署を退職し、ライターとして活動してます。税務署時代は資産課税部門に所属しており、相続税・贈与税・所得税が専門でした。 脱税は嫌いですが、節税は好きです。少しでも税金を身近に感じていただける文章をお届けします。 寄稿者にメッセージを送る

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