キャッシュレス界は複雑化の一途をたどっています。
買い物する店舗の、系列のクレジットカードや電子マネーで支払っていればいい時代は終わりました。
系列キャッシュレスでも、損するケースがざらにあります。
「トクだと思っていたら実は損」という支払い方法を特集してみました。
目次
セブングループでnanacoやセブンカード・プラス
電子マネーnanacoと、そのポイントが付くチャージ元として現在唯一(一部の経過措置を除く)のカードであるセブンカード・プラスは、セブングループでは当然いちばんトクだと信じている人も多いかもしれません。
ですが還元率もグループ内利用で合計1.0%に過ぎず、損するシーンのほうが多いです。
8の日の5%オフがあるイトーヨーカドーでは役立ちますが、セブン-イレブンでトクになるのは次のシーンのみです。
・ 公共料金、コンビニ払伝票や切手をnanacoで決済(利用ポイントはつかないが、チャージ時にトクになる)
・ ボーナスポイント対象商品の購入
これ以外のシーンは、すべて次の2枚の系列外カードがトクになります。
・ 三井住友カードタッチ決済(5.0%/家族ポイントにより最大10.0%)
・ 三菱UFJカード(5.5%/2023年7月まで10.0%以上のキャンペーン実施中)
それからイトーヨーカドーも「8の日」以外でおすすめなのはモバイルSuicaです。
ローソンでローソン系クレジットカード
ローソンにも次のハウスカード、提携カードがあります。カッコ内は還元率です。
・ ローソンPontaプラス(午後4時以降2.0%/それ以外1.0%)
・ ローソンPontaカードVisa(2.0%+月単位で0.5%)
・ JMBローソンPontaカードVisa(マイル還元率1.0%)
三井住友カード(タッチ決済)、三菱UFJカードはセブン-イレブンと同様、ローソンでも5.0%以上の数字なので、系列外キャッシュレスの圧勝です。
唯一、ローソンPontaプラスに関しては、高還元のタイミングがあります。
・ 毎月10日と20日の、ローソンPontaプラス(午後4時以降)6.0%
・ 「ウチカフェスイーツ」常時10.0%
これ以外のシーンでは、ハウスカードを使う価値が乏しいのが現状です。
au PAYへのチャージも系列外を選ぶことに
QRコード決済のau PAYは、事前にチャージをして使います。
チャージの際にポイントのたまるクレジットカードから、なんと系列のau PAYカード(スタンダード)が2022年12月に抜けてしまいました。
現在は、エポスゴールドカードやOrico Card THE POINT(Mastercard)からのチャージがおすすめです(1.0%以上)。
今後、au PAYにチャージしてもポイントのたまらないカードが増加するのではないかと懸念されます。
系列外にもチャージ時にポイントのたまるカードがなくなった場合、au PAY自体の使い方自体考え直さないとなりません。
便利なドトールバリューカードは使う暇がない?
ドトールコーヒーグループのプリペイドカード、ドトールバリューカード自体は次の通り優れものです。
・ 2,000円以上のチャージで5.0%付与
・ 商品購入時に1.0%付与
・ クレジットカードからもチャージ可
還元率1.0%のクレジットカードでチャージすれば、7.0%還元ということになります。
ところで、ドトールコーヒーではいつでもなにかのキャンペーンを実施しています。
クーポンはPayPay等のQRコード決済で頻繁に発行されますし、前述の三井住友カードタッチ決済でも常時5.0%以上です(3月15日まで10.0%のキャンペーン実施中)。
2021年夏には、タッチ決済「全額還元」というキャンペーンまでありました。
間違いなく価値のあるドトールバリューカードですが、次に該当する人でない限り、決しておトクな使い方とはいえません。
・ ヘビーユーザーで、食事もよくする人
・ 常に、ドトールバリューカードより安くなるキャンペーンに目をつけている
・ チャージするクレジットカードも吟味
優れたサービスにもかかわらず、これのみでは損するという例でした。
ちなみに、コメダ珈琲にも「コメカ」というクレジットチャージ可能で利用時最大3.0%のポイントが付くプリペイドカードがあります。
こちらは、ドトールほどクーポン類がないので、コメカでいいでしょう。
ドラッグストアのハウスカードはおおむね微妙
ハウスクレジットカードが多いのがドラッグストアです。
こんなカードが実在します。該当店舗での還元率も載せておきます。
・ マツモトキヨシメンバーズクレジットカード(2.0%)
・ ツルハドラッグカード(1.0%)
・ スギグループカード(1.0%)
・ クリエイトエス・ディー・クレジットカード(1.0%)
マツモトキヨシ(ココカラファインやどらっぐぱぱすでもOK)の2.0%はかなり優秀ですが、それ以外は平凡です。
還元率の多少よりも、クーポンがもらえる点にメリットを見いだせるのですが、カードを作らなくてもアプリ会員ならクーポンをもらえます。
結局、クレジットカードとしては枚数を増やしてしまうだけに終わる可能性があります。
系列の決済はトクに違いないと思わないこと
クレジットカードも、汎用性の高いもののほうがトクになる時代となっています。
店舗系列の決済にいいものもありますが、期待しすぎないようにしましょう。
コンビニやドラッグストアも、PayPay等QRコード決済の大型還元の対象になることもあり、その場合は支払方法も柔軟に対処したいものです。(執筆者:金融系ライター 沼島 まさし)