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退職金や確定拠出年金などを一時金で受け取る予定の方必読!受け取る順番やタイミングで変わる税金と手取り額

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退職金や確定拠出年金などを一時金で受け取る予定の方必読!受け取る順番やタイミングで変わる税金と手取り額

今回は退職所得控除のルールを知らないと、退職金や確定拠出年金などを一時金で受け取るときに、思わぬ税金を支払うことがあるというお話をしたいと思います。

退職所得を受け取るのは「1度きり」という方にはやや関係のないテーマですが、退職金や確定拠出年金といった退職所得を、複数回受け取る方が注意する内容ですので、ぜひ最後までご覧ください。

退職金の受け取り方と手取り金額の関係

退職金や確定拠出年金などを一時金で受け取る際の税金の計算は?

退職金や確定拠出年金などを一時金として一括で受け取る際は、「退職所得」として税金が課せられます

退職所得は分離課税(他の所得と分けて計算)で、税金は次のような流れで計算することになります。

1. 所得税を計算します(復興特別所得税は考慮していない)

退職所得の所得税の計算式は次のとおりです。

  • 所得税 = 退職所得※1 × 所得税率※2

※1 退職所得の計算においては、長年の勤労に対する報償の意味合いがあるため、税金の計算では、退職所得控除や1/2課税などで優遇されており、計算式は下記となります。

  • 退職所得 =(退職収入 – 退職所得控除額)× 1/2

退職所得控除は、勤続年数20年以下と20年超で分けられており計算式は下記となります。

【退職所得控除額】

  • 20年以下 → 40万円 × 勤続年数(最低80万円)
  • 20年超  → 800万円 + 70万円 ×(勤続年数 – 20年)

※2 所得税率は、課税退職所得金額によって5~45%で設定されており、各税率毎に控除額も0から段階的に設けられております。

2. 住民税を計算します(均等割は考慮していない)

住民税の計算式は次のとおりです。

  • 住民税=退職所得 × 10%

具体的な計算事例は下記のようになります。

【源泉徴収なしの退職金が1,000万円で勤続年数が20年の場合】

・所得税 (1,000万円-800万円)× 1/2 = 100万円

100万円 × 5% =5万円 (復興特別所得税は考慮していない)

・住民税  100万円 × 10% =10万円(均等割は考慮していない)

所得税・住民税合わせて15万円で、手取りは985万円になります。

退職所得を複数回受け取るときの退職所得控除のルールとは?

退職所得を1度きり受け取る場合は上記の例にならって計算すればいいのですが、複数回受け取る場合は退職所得控除額の計算において次のようなルールがあります。

1. 退職金の退職所得控除5年ルール

退職金を受け取る場合、その退職金を受け取る年の前年以前4年内に他の支払者から支払われた退職金等がある場合は、それらの勤続年数の重複期間を含めずに退職所得控除を計算するというルールがあります。

(つまりは5年以上空けて退職金を受け取る場合は勤続年数に調整が入らず、税制上有利に受け取ることができるということ)

2. 確定拠出年金の退職所得控除19年ルール

iDeCoや企業型DCなどの確定拠出年金を一時金で受け取る際にも、上述同様に勤続期間と確定拠出年金の運用期間の重複部分は含めずに退職所得控除を計算するというものです。

ただし、確定拠出年金の一時金の場合は受け取る以前19年以内と、適用される期間が非常に長くなっています。

これらのルールが存在するために、受け取る順番やタイミングが違うと思わぬ税金を支払うことになる可能性があります。

受け取る順番やタイミングでどれだけ税金が違ってくるのか

退職金や確定拠出年金を一時金で受け取る順番やタイミングが違うと、どのくらい税金が違ってくるのか、次の3パターンでシミュレーションしてみました。

設定条件

  • 勤続期間は固定してのシミュレーションとします。
  • 退職金:65歳時退職金 1,500万円(源泉徴収なしの金額)
  • 勤続年数:30年
  • iDeCoの一時金:570万円・840万円・1,020万円(平均利回り4%程度として試算)
  • iDeCoの加入期間(積立期間):15年・20年(勤続期間との重複期間は15年・20年)
  • 所得税の復興特別所得税と住民税の均等割は考慮せず

詳細な計算式は省略させて頂きますが、計算結果は下記になりました。

退職金とiDeCoの一時金を同時に65歳で受け取る場合

(65歳時退職金1500万円とiDeCoの一時金840万円を同時に受け取る)

所得税と住民税の合計は、83.25万円  手取り金額は、約2,257万円

iDeCoの一時金を先に受け取る場合

(60歳時iDeCoの一時金570万円、65歳時(5年後)退職金1500万円を受け取る)

所得税と住民税の合計は、0(ゼロ) 手取り金額は、2,070万円

退職金を先に受け取る場合

(65歳時退職金1,500万円、70歳時(5年後)iDeCoの一時金1,020万円を受け取る)

所得税と住民税の合計は、80.25万円  手取り金額は、約2,440万円

退職金の違い

税金額の違いは上述のようになりましたが結局は、iDeCoの運用期間も違ってきてしまいますので、手取り金額との兼ね合いも出てきてしまいます。

また運用利回りも期間の違いを考慮せずに4%程度と固定してのシミュレーションですので、その点も判断に影響を与えかねません。

どれを選択されるかは、状況や価値観次第ということになり、単純な損得勘定だけでの判断は難しいというのが今回の結論です。

ご参考にしてもらえたら幸いです。(執筆者:CFP認定者、1級FP技能士 小木曽 浩司)

《小木曽 浩司》
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執筆者:CFP認定者、1級FP技能士 小木曽 浩司 小木曽 浩司

リップ ラボ 代表 1969年生まれ。大学卒業後、新卒で大手住宅メーカーに入社。約10年間、戸建住宅や賃貸住宅の営業に従事。その後、生損保乗合代理店に転職し、生命保険を使った企業の決算対策や退職金準備などを提案・営業する。そして、平成18年(2006年)6月にリップ ラボ(独立系FP事務所 兼 生損保乗合代理店)を開業し、独立する。現在は、生命保険・損害保険・住宅(不動産)・住宅ローンをひとつの窓口で、トータルにご相談に乗らせていただいております。また、専門家のネットワークを構築し、税金や相続、登記などの相談の窓口にもなっております。 <保有資格>:CFP認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、住宅ローンアドバイザー、ライフ・コンサルタント、損害保険プランナー 寄稿者にメッセージを送る

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