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【2023年4月改定】在職老齢年金制度の内容とは? 労働者有利といわれる中身について解説

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【2023年4月改定】在職老齢年金制度の内容とは? 労働者有利といわれる中身について解説

2023年4月から在職老年金制度の改定が行われています。

在職老齢年金制度と言えば年金をカットする制度とも言われますが、今回は労働者有利の改定となっています。

そこで、在職老齢年金の制度と改定内容について解説します。

在職老齢年金制度

在職老齢年金とは?

2階部分である厚生年金から支給される老齢厚生年金をもらっている方が、一定以上の報酬と年金をもらっている場合、基準額を超えた分の半分の年金カットする制度です。

主要なポイントとしては、次のとおりです。

(1) 厚生年金の被保険者であること

(2) 報酬(賞与は月額換算)と年金月額の合計額が一定以上であること

双方のよくある誤解で、まずは厚生年金に加入しているかということがポイントです。

例えば副業先がある場合、副業先で厚生年金に加入していない場合、そこでもらう報酬は(2)に含まれません。

法律条文上では在職老齢年金は老齢厚生年金(報酬比例部分)を「全部または一部支給停止」する制度と書かれていますが、そのときにもらえなかった年金はその後に報酬が減ったからといって戻ってくるわけではありませんので、実質的にはカットと表現する方が誤解は少ないと考えます。

ただし、年金なら何でもカットされるというわけではなく、例えば1階部分である国民年金からもらえる老齢基礎年金や、老齢厚生年金であっても経過的加算部分※や私的年金に区分されるiDeCoは、在職老齢年金によってカットされることはありません

※経過的加算部分

1階部分である国民年金からもらえる老齢基礎年金は、20歳~60歳までの480か月にどれだけ保険料を納めたかによって年金額が計算されます。

しかし、20歳前の期間と60歳以後の期間は原則として「老齢基礎年金の年金額」には反映できないため、2階部分である厚生年金から支払うというものです。

よって、実質的には老齢基礎年金と言えます。

2023年4月~の改定

「(2)報酬(賞与は月額換算)と年金月額の合計額が一定以上であること」の部分は、2023年3月までは「47万円」でした。

すなわち、報酬と年金の合計が47万円を超えた分の半分が年金からカットされていたところ、2023年4月~は「47万円」が「48万円」に改定されています

もちろん、労働者有利の改定と言え、これまでと全く同じ給与形態であっても改定後は年金のカットがなくなる(あるいはカットされていてもその額が緩やかになる)ことが想定されます。

在職老齢年金について

≪画像元:厚生労働省

改定が実感できるのは令和5年6月15日に振り込まれる4月・5月分からですので、4月14日に振り込まれている2月・3月分は改定前の47万円が基準となっていますので注意が必要です。

これは年金の支給スパンは偶数月に「前月までの2か月分」を振り込むことになっているためです。

在職老齢年金の基準額は今後も、年度によって改定されることがあります。

年金の支給日

注意点は?

他方、業績回復等によって賞与が出た場合、賞与も在職老齢年金の報酬(上図には「賃金」と記載)に含まれますので、場合によっては従来よりもさらにカットされるということも考えられます。

ただし、労働時間が減ったことで厚生年金の資格を喪失した、あるいは厚生年金に加入していない副業先で賞与が出たという場合は「厚生年金の被保険者」ではありませんので、影響がない部分です。

ただし、収入であることにはかわりありませんので、翌年の住民税には影響があります。

労働者有利の改定で労働時間抑制が起きにくくなる

今回の改定は労働者有利の改定であり、労働者数が少なくなるなか、報酬が増えても年金がカットされにくい方向に進むことは就労調整(働く時間を敢えて短くする)が起きにくくなると考えられます。

特に社会保険料の中でも厚生年金保険料は最も高額であるため、これまで長く厚生年金に加入していた方は可能な限り、厚生年金は(カットされることなく)多くもらいたいと考える方は少なくないでしょう。(執筆者:社会保険労務士 蓑田 真吾)

《蓑田 真吾》
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蓑田 真吾

執筆者:社会保険労務士 蓑田 真吾 蓑田 真吾

社会保険労務士 独立後は年金などの社会保険制度、人事労務管理に関する講演活動を行い、また、労務トラブルが起こる前の事前予防対策に特化。現在は有効的な社会保険制度の活用、様々な労務管理手法を積極的に取り入れ、企業をサポートしています。 【他保有資格】2級ファイナンシャル・プランニング技能士、労働法務士 等 寄稿者にメッセージを送る

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