平成22年度税制改正により相続税の障害者控除の適用年齢が70歳から85歳までに引き上げられました(適用は平成22年4月1日以後の相続又は遺贈に係る相続税について)。
この改正により、適用を受けられる者が増えると同時に控除可能な金額が障害者の場合は最大90万円(6万円×15年)、特別障害者の場合は最大180万円(12万円×15年)増額されました。
障害者である相続人(相続放棄をした者を含む)が相続等により財産を取得した場合に、障害者控除をする前の相続税額が障害者控除の控除可能な金額より小さいとき、控除しきれない金額が発生してしまいます。この控除しきれない金額は、すぐ切り捨てられるのではなくその障害者の扶養義務者の相続税額から控除することができます(相続税法第19条の4第3項)。
ここでいう扶養義務者とは相続税法第1条の2第1号に規定する者で、原則として配偶者と直系血族及び兄弟姉妹です(民法第877条第1項)。
なお、扶養義務者が2人以上いる場合の上記の適用をするときの控除を受ける額の計算は、協議により決めるか税額による按分を行うかのいずれかとなります(施行令第4条の3)。
相続等により財産を取得した被相続人の配偶者が障害者である場合などは、相続税法第19条の2の配偶者の税額軽減により相続税額が0円となることも多いですが、配偶者の障害者控除で控除しきれない金額は直系血族の相続人である子供等の相続税額から控除することができます。
なお平成24年10月現在での話ですが、先送りされている相続税改正案で下記のとおり障害者控除の引き上げが示されています。85歳までの1年につき10万円(特別障害者については20 万円)