2013年春闘が本番を迎えており労働組合などが要求する年間一時金(ボーナス)に対し自動車業界では満額回答が相次いでおり、首相の異例の賃上げ要請や経済政策「アベノミクス」に伴う円安効果や株高など明るい兆しが出てきているようにも見えます。 しかしながら企業の利益還元は一時的なボーナスが中心で、恒常的なコスト上昇につながる基本給の改善に経営側は慎重姿勢を崩していない。
例年春闘は自動車や電機などの輸出企業が先陣を切って労使交渉を行い、そこで合意した相場が他の業界に波及するパターンが多かったのですが、今春闘では大手コンビニやスーパーなど2月決算の多い流通業界が先陣を切って一時金(ボーナス)の引き上げとベースアップ(ベア)の実施も発表され、これから賃上げ交渉が行われる他の業界への波及も期待して景気回復してほしいという願いが込められたのではないかと推測します。
安倍政権は物価上昇率2%の目標を掲げており、円安株高の進行で輸出企業の収益に改善傾向が出てきて、百貨店でも高額商品が動き始めていると報道されています。 政府の思惑通り賃金や雇用拡大に波及して物価が上昇するシナリオが描けるか? デフレ脱却のためには一時金だけでなく、消費意欲が高まる恒常的な賃金の引き上げが必要なのは言うまでも無いですね。
ただ深刻なのは非正規社員の方々です。2012年平均の非正規社員の数は全国で1800万人超。全体の35%超と過去最高水準に増えていますが、平均年収は200万円強と正社員平均の半分以下にとどまっており、正社員だけ賃金が上がっても労働人口の35%を超える非正規社員の賃金が低く抑えられたままでは消費全体の底上げは難しいですね。
賃金が上がりそれが消費に回って好循環してくるのを実感できるサイクルは1年~2年程度かかるといわれていますが、今賃上げの兆しが見える大企業の正社員から今後は中小企業の正社員、そしてすべての非正規社員も含めた幅広い層の恒常的な賃金の引き上げが出来てこそ本当の意味での緩やかな景気回復を実感できるのですが・・・