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既に進行している「年金カット」
2013年6月3日に開かれた有識者による『社会保障制度改革国民会議』(内閣に設置)で、年金の支給開始年齢引き上げを検討することが大筋一致しました。今後、改革案を政府に提言し、政府は必要な法制上の措置を講ずるという流れになるでしょう。議題にあがっても法案化するのは、しばらく先になると思いますが心穏やかではいられません。
今のところ2000年の法改正により、2025年度(女性は5年遅れのスケジュール)から老齢厚生年金の支給開始年齢が65歳に引き上がります。準備期間として2001年から24年間もかけて“特別支給の老齢厚生年金”という特別感あるネーミングに騙されながら、徐々に部分的・段階的な年金カットが始まっています。今年(2013年度)60歳で退職すれば無収入の期間(雇用と年金の空白期間)が1年間できてしまいます。
支給開始が3年遅れると生涯年金はいくら減るの?
今回の『社会保障制度改革国民会議』では、支給開始年齢をさらに引き上げる必要性について議論されました。そこで、将来の年金受給額を算出してみて下さい。支給開始が3年遅れると生涯年金がいくら減るのでしょうか。
年間受給額=基礎年金+厚生年金※
=786,500円+厚生年金※
※厚生年金=約6,600円×(年収÷12ヶ月÷10万円)×お勤めの年数
民間給与実態統計調査結果(国税庁)によると、平成23年のサラリーマン平均年収は409万円です。平均年収409万円で38年間お勤めのサラリーマンが受給する年金額(基礎年金+厚生年金)は、月額およそ14万円です。受給開始年齢が65歳→68歳になると、生涯年金は504万円も減ってしまうのです。専業主婦の奥様も含めて考えると、世帯あたりの生涯年金は740万円も減ってしまうのです。
今こそ危機感を感じて「個人年金」を始めましょう
今こそ危機感を感じて私的に個人年金へ加入し、自助努力で備えておくのが懸命だと思います。民間の個人年金は、デメリットに勝るメリットがあると考えるからです。
デメリット 利回りをさほど期待できない点や早期解約すると元本割れする点
また、財形年金や確定拠出年金の活用もおすすめします。確定拠出年金を導入している企業にお勤めのサラリーマンは、株式市場が乱高下を繰り返している今こそ下落時を狙って上手に資産クラスを配分しましょう。自宅でパソコンやスマホからも常時操作できますので、まめにリバランスできます。
確定拠出年金で分散投資できていない方に、参考モデルの一つのとしてGPIFの運用割合を挙げておきましょう。GPIFとは、厚生労働大臣から寄託を受けた年金積立金の管理および運用を行う年金積立金管理運用独立行政法人です。
運用割合は、国内債券60%、外国債券11%、国内株式12%、外国株式12%、短期資産5%となっています。国内外の株式を対象としたファンドの割合を増やせば、より積極的な運用ができます。リスク許容度に応じた分散投資をして老後に備えましょう。