目次
夏の旅行シーズン 思わぬ事故や病気に備えよう

毎日鬱陶しい梅雨空が続いていますが、梅雨明け後はいよいよ夏の旅行シーズンが到来します。今は旅行プランを考える時期なのかもしれませんが、海外旅行については、現地の環境が日本と異なるため思わぬ事故や病気などのリスクも考え、保険などでの備えも必要です。
海外旅行保険といえば民間保険会社やクレジットカードに付帯している保険が定番となっています。しかし国民健康保険や勤め先で加入している健康保険が海外でも適用されることを知らなかった人も少なからずいると思います。
この保険の特徴と補償の仕組み
これは、2001年1月から既に始まっている制度(海外療養費制度)で、海外旅行中や滞在中などに病気やけがで治療を受けたとき、国民健康保険や企業・団体等が加盟している健保組合などの公的健康保険から補償されます。
補償の仕組みについて、先ず海外で支払った医療費は日本国内の医療機関など保険適用となっている医療費をベースに「標準額」が算定されます。
現地で払った医療費は、3割負担の一般被保険者で、実費がその標準額を超えた場合、「標準額 x 70%」、標準額を下回った場合は、「実費 x 70%」が払い戻される仕組みとなっています。
例えば、旅先で急性虫垂炎に罹り入院・手術などの医療費総額が20万円掛ったとした場合、日本国内での医療費(標準額)が30万円とすると、14万円(20万円(実費) x 70%)が払い戻される計算となります。
手続きおよび留意点について
1) 海外の医療機関に、一旦医療費の全額を払います。
2) その医療機関から担当医などの署名付きの※「診療内容明細書(Attending Physician’s Statement)」、「領収明細書(Itemized receipt)」などの書類を入手します。 ※この書類が外国語で記載されている場合には、日本語の翻訳文を添付することが条件です。 翻訳内容については、専門的なレベルは要求されず辞書を引きながら記入する程度で十分です。この書類は健保組合、市町村窓口などで事前に入手しておくことが必要です。 3) 帰国後、加入している健保組合、市町村窓口などへ※申請します。 ※申請書類は上記書類に加え「療養費支給申請書」を提出します。 4) 健保組合、市町村などから保険給付分の払い戻しを受けます。 健保組合、市町村への申請期限は、現地で治療費を支払った日の翌日から2年間有効です。 尚、主に欧米の医療費は日本と比べかなり高額となるため、欧米への旅行を予定されている人は、加入しているクレジットカードに付帯される補償内容のチェックと合わせて民間保険会社の海外旅行保険などの加入を検討することも大事です。 この海外療養費制度は、申請において翻訳の手間、払い戻しに時間(約2ヶ月)がかる、また医療費が必ずしも全額戻ならない、などのディメリットはあります。 しかし、この制度は万一に備えての安心材料の一つになるのは確かですので、一考の価値は十分あると思います。