3組に1組が離婚する時代。現在、赤丸急上昇のキーワードは「再婚」。同じ失敗を繰り返さないために「再婚後の生活設計」が必須。それを責任をもって作れるのはFPだけ。
10組に1組が再婚カップルという現実
(平成17年)
◆ 夫が初婚 妻が再婚 7.1%(50,078組)
◆ 夫が再婚 妻が初婚 9.3%(66,193組)
◆ 夫、妻ともの再婚 9%(63,996組)(昭和50年)
◆ 夫が初婚 妻が再婚 3.6%(33,443組)
◆ 夫が再婚 妻が初婚 5.2%(44,042組)
◆ 夫、妻ともの再婚 3.9%(36,470組)≪厚生労働省・人口動態統計より≫
このように、ここ30年間で再婚件数は2~3倍になっています。30年という長い期間ですが、3倍というのは、かなり大きな数字です。そもそも全体の婚姻数が約70万組ですから、10人の1人は、カップルのどちらかがバツイチということになります。
こうやって見ると、離婚件数が年々、増えているわけですから、確かに当然といえば当然といえる数字です。このように片方、または両方に離婚歴のある再婚(結婚)が増えているわけですから必然的に、それにまつまる問題やトラブルも発生します。
なぜなら、離婚歴がある場合、元配偶者との関係、子供がいれば、子供との関係が離婚後も続いているからです。
目次
養育費を減額したいなら、知っておきたい3つのこと
1.養育費の減額理由
離婚時に決めた養育費について、経済状況や家族構成の変化により、支払が難しくなった場合、どのくらい減額する必要があるのか、再度キャッシュフロー表を作成します。
*養育費は「事情変更」により見直しが可能。だが、ほとんど知られていない。
一度、決めたら最後までその金額を払わないといけない。元妻と話したくないという心理も。夜中や休日にアルバイトをしたり、借金をして養育費を満額、支払おうとするが、過労がたたって病気で倒れたり(うつ病も含む)自転車操業で多重債務に陥るケースが多い。(年収500万円なのに借金200万円など)
一度決めたら最後までその金額をもらうことができる。だから、元夫が泣きついてくると「だまされた感」が強く、断固拒否し、問題を先送りしてしまう。結局、いつかは解決しないといけないのに。
理想は「事情変更」が起こったときに相談してもらうこと。しかし、実際には息詰まってから。だから、周囲にこのような人がいたら、すぐに声をかけて欲しい。
*事情変更とは「経済状況の変化」と「家族構成の変化」がある。
2.経済状況の変化
経済状況の変化とは、例えば、残業代カットによる夫の収入減、病気による休職、リストラによる失業、親が高齢になったため、夫が親の介護費用を負担したり、生活費を援助している、など。
(2)夫側の支出増(親への仕送り、介護費用、弟妹の養育費、結婚時に借金が膨張など)
(3)妻側の収入増(これはあり得ない。収入が増えたから養育費を減らすのでは、そもそも働かない)
(4)妻側の支出減(これはあり得ない。子供が成長すれば、支出は減るどころか増えるばかり)
(5)その他(離婚時に決めた養育費がそもそも多額すぎて、支払えるような金額ではなかった)
3.家族構成の変化
家族構成の変化とは、例えば、妻が再婚し、再婚相手が子供と養子縁組した、夫が再婚し、再婚相手との間に子供が産まれた、連れ子と養子縁組をした、など。
(2)妻の再婚 → 世帯収入の増加。妻+再婚相手+再婚相手の両親の援助ただし、再婚相手の子が産まれると、養育費見直しが難しくなることも。
再婚したい女性がやっておきたい3つの工夫
1.再婚するなら将来設計をしよう
女性の相談者がバツイチ男性と交際しており、再婚を考えているが、男性は元妻に子供の養育費を支払っているため、再婚しても、やっていけるかどうか不安。そんな女性のために、再婚後、どのくらいの生活水準になるのか、子供を産んで育てることができるのか「再婚後のキャッシュフロー表」を作成します。
理想は再婚する「前」に、再婚「後」どうなるのかシミュレーションすること。しかし、実際には再婚し、子供が産まれ、養育費の支払が厳しくなってから、相談に来る。
再婚がキャッシュフロー表に与える影響
(2)マイナスの影響 → 再婚相手と子供(実子もしくは連れ子)を扶養すれば、生活費は増える。夫婦と子の場合、平均的な生活費は年432万円(平成23年 総務省「家計調査」)
家計収支はマイナスになったら、何かしら改善しなければならない。
2.再婚前にできる収支の見直し
もし、再婚することで生活に困窮するようなら、再婚前に養育費等を見直す、無駄な支出を削るなどライフプランの修正が必要です。
「養育費以外の見直し」、「養育費の見直し」の順。これを逆にすると元妻が「もっと節約すれば養育費を満額支払えるでしょ!」と言い出す。逆に最大限、節約していれば、元妻が同情してくれることも。
(1)養育費以外の見直し
まずは標準的な生活費と今の生活費を比べ、超過している部分を削除。「家計調査」は各項目に分かれており、比較が可能。また再婚には引っ越しが伴うので、安い家賃のアパートを探す、再婚相手の死亡保障を削る、ムダ使いをやめるなどの努力を。
(2)養育費の見直し
・(1)を行ったけれど、どうしても家計収支が赤字の場合は、その分だけ養育費の減額を求める。
・ただ、再婚していないのに再婚前提のキャッシュフロー表を作成したり、子供が産まれる前に子供を育てる前提のキャッシュフロー表を作成すると、元妻が「本当に再婚するの?子供を作る気なの?」と疑われることも。その場合は実際に再婚したり、子供が産まれてから、元妻にアプローチするしかない。
3.再婚市場にFPの活路
未婚同士の結婚に比べ、バツイチの再婚は、複雑な事情が絡み合うため、特に女性は慎重になる。そのため、FPに相談し、結婚するかどうか決めたいというニーズは多い。
「バツイチ男性はモテる」という都市伝説がある。理由はいろいろあるが、女性が「前の奥さんのせいで彼は結婚に失敗した。でも、今度は私が幸せにしてあげる」と前妻へのライバル心や嫉妬心をむき出しにするのが1つ。
バツイチ夫婦の力関係は、再婚時の生活設計にも表れる。本来、自分の子なのだから、夫本人が相談すべき内容。しかし、実際は再婚相手(現妻)が「私が助けてあげる」とばかり、相談してくるケースが非常に多い。経験則では夫6割、妻4割か。
今までFPが手掛けるライフプランニングは住宅購入資金、子供の教育資金、老後の資金がメインだったが、「再婚」も大きな柱になり得る
(1)複雑すぎて素人では解決できない。元夫、元妻と2つのキャッシュフロー表が必要。キャッシュフローの補正は経済状況の変化、家族構成の変化など多岐にわたる。
(2)現妻はできるだけ、元妻の子に養育費を払いたくないと思っている。(執筆者:露木 幸彦)