最近、50歳を過ぎてから結婚、再婚する「お盛んな」芸能人をよく目にしますね。しかし、これは芸能人に限ったことではなく、一般人の間でも増えているのです。このような熟年結婚、再婚を考えるとき、何に注意すれば良いのでしょうか?
注意して欲しいのは中高年再婚は、若者再婚に比べ、リスクが高いということです。
50代になると、若かった頃のように「勢いで押し切る」わけにはいきません。「好きだから」「愛しているから」など綺麗事だけでは通用しない年齢なのです。なぜなら、あなたは半世紀近くにわたって人生経験を蓄積していますが、そのことが問題を複雑化させ、結婚へのハードルを上げるのです。これは、どういうことでしょうか?
それは若者に比べ、中高年の場合、「結婚前」にパートナーと話し合わなければならない項目が多いということです。これは中高年婚活に特有の「マリッジブルー」と言えるでしょう。
なお、話し合いのタイミングは「結婚前」でなければなりません。タイミングを逃し、結婚後に打ち明けるとパートナーは「そんなこと知らなかった」と不信感を持ち、夫婦関係はいきなり悪化します。実際、そのような場合、元妻との折衝に失敗し、せっかくパートナーと結婚したのにパートナーが「高額の支払い」にうんざりして早々に離婚せざるを得なくなったケースもあります。
もちろん、ありのままを話すことで、パートナーが恐れおののいて、逃げる可能性もありますが、そのときは「そこまでの相手」だと割り切って、あきらめることです。
目次
1.子供をどうやって育てるのか
例えば、あなたが50歳、パートナーは30歳。結婚してすぐ子供が産まれた場合、我が子が成人する頃、すでにあなたは70歳です。そしてあなたが定年をむかえる頃、子供10歳、まだ小学生ですが、あと10年間、どうやって子供の教育費等を捻出するのか、それは大事な問題です。
これは若者婚活であれば問題にならないことです。彼らは現役の間に子供が成人するからです。しかし、中高年婚活の場合、退職金をどう振り分けるのか、何歳まで働くのか、年金の見込み額はいくらなのかパートナーに打ち明け、先々の人生プランまで、きちんと設計する必要があります。
2.元妻との子供をどうするのか
元妻との間に子供がいて、あなたが養育費を払っていたり、定期的に子供と面会している場合の話です。養育費があまりに高額だと、それがネックになり、あなたが再婚に踏み切れなかったり、パートナーが「再婚しても子供を作れない」と尻込みするケースがあります。またパートナーが「再婚したら、むこうの子供と会わないで欲しい」と注文をつけてくることも。
赤の他人である元妻に、再婚の承諾をとるというのもおかしな話ですが、パートナーとの間に遺恨を残さないためにも、あなたが率先して元妻に連絡をとり上記の点をどうするのか、話し合う必要があります。
3.パートナーの子供をどう扱うか
母子家庭の世帯数は135万(平成18年、全国母子家庭世帯等調査・厚生労働省)この数字を見ると、パートナーがたまたま「元夫の子供を育てている」という確率は案外、高いのです。その場合、パートナーの連れ子をどうやって育てるのか、話し合う必要があります。
なお、あなたがその子供を「自分の子として育てよう」と決意すると、パートナーから「養子縁組して欲しい」と頼まれることがあります。
養子縁組をすると相続権が発生します。そうすると、結婚後に築いた財産だけでなく、独身時代の財産や先祖代々、受け継いできた財産も、血のつながらない子供が相続します。そのことを念頭にどうするのか決める必要があります。
4.相続をどうするのか
50代に差し掛かると、人生のエンディングについて頭の片隅にちらつき始めます。中高年婚活の場合、結婚時に遺言を「書きたい」場面と、「書かされる」場面に遭遇します。これはどういうシチュエーションでしょうか?
まず「書きたい」場合ですが、これは例えば、あなたに持ち家がある場合です。もし、あなたに離婚歴があり、元妻との間に子供がいる場合、その子供にも相続権が発生するため、財産の如何によっては、持ち家を子供にとられ、パートナーが住むところを失う危険があります。そのため、少なくとも持ち家だけは、パートナーが相続できるようということです。そのために遺言を作成した人を私は相当数、見てきています。
一方、「書かされる」場合ですが、これはパートナーに「前妻の子供には1円も渡さないで」と頼まれた場合です。元妻の子供には遺留分(どんな遺言を書いても、なくならない相続権)があるため相続分はゼロにはなりませんが、極限まで減らすことはできます。パートナーに言われるがまま、遺言を書くかどうかは、あなた次第ですがおかしな三角関係(元妻と現妻)に悩まされるというのは、中高年ならではの悩みです。
5.結婚しても「尊敬できる存在」でいられるか?
最後に中高年を象徴するエピソードをご紹介しましょう。中高年の男性そして、その男性と結婚した女性、それぞれの言い分を聞くことでお互いの「認識の差」が浮き彫りになります。
外資系企業でマネージャー職の女性と結婚した男性。彼女との年齢差は18歳で、彼は結婚当時、51歳でした。夫婦はすぐ子供を授かりましたが、彼女の仕事は忙しくなるばかり。帰りが終電になるのは当たり前、家事育児はいつの間にか、彼の役割になっていました。
そんな矢先、彼女が朝帰りをしたのです。彼はついに堪忍袋の緒が切れて、彼女をきつく叱ったそうです。そうすると彼女は子供を連れて、実家に戻ってしまい…今も別居状態が続いています。
このケースでは彼女の話も聞くことができました。
このように女性の側が、中高年男性に求めるレベルは、若者婚活に比べ、高いことが分かります。例えば「50歳の男性は、包容力があって当然」「50歳なのだから、妻に対して寛容で当たり前」という具合です。
つまり、あなたはパートナーにとって、いつまでも「尊敬できる存在」であり続けることが求められます。パートナーが求めるクオリティを維持できないと、心が離れていくのだから、そのことを承知しておくことが大事です。(執筆者:露木 幸彦)