毎年、桜便りの聞かれる頃、新しいスーツにピカピカの靴を履いた新社会人の方を見かけます。見ていてもフレッシュさを感じ、つい「頑張れよ」とエールを送りたくなりますね。そんなエールの一つとして、今回は初めて手にされる給与明細の見方をご案内してみます。
目次
給与明細の「支給」、「勤怠」、「控除」をチェック
一般的に給与明細は、「支給」、「勤怠」、「控除」の3項目で構成されています。
基本給、通勤手当、家族手当、残業手当等です。これは給与の根幹をなすもので、解りやすいですね。
・「勤怠項目」は、出勤日数や残業時間などの給与計算のもとになる項目です。
所定労働日数、出勤日数、有休日数、欠勤日数、残業時間等です。自分が働いた勤務状況の総まとめですね。
・「控除項目」は、社会保険料や税金等の引かれるお金の項目です。
健康保険、厚生年金、雇用保険、所得税、住民税等です。税金については特に説明を要しないと思いますが、今までアルバイトしか経験のない新社会人の方には、健康保険等の社会保険料についてはあまり馴染みがないかも知れませんね。
社会保険料って何?
まず社会保険料は、4種類(健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料)です。介護保険料は、40歳以上の人が対象ですので、詳細は省きます。代表選手は、健康保険料です。病気やケガで治療を受けた時に医療費の3割の自己負担額ですむ、強い味方になってくれる保険です。
おそらく今までは、親御さんの被扶養者としてお世話になっていたかと思います。厚生年金保険料は、老齢になった時に年金を受給する為の保険料です。若い新社会人の方にとっては、ずっと先に貰える年金なんてピンとこないかも知れません。
しかし、年金は老齢で受給する他に、身体に障害を負ったり、死亡したりした場合にも、本人や家族が年金として受給出来ます。つまり、健康保険は現在進行形のリスク対策で、厚生年金保険は未来形のリスク対策と言えます。そして、この二つの社会保険は、今後ずっとあなたを守ってくれる頼りになる「相棒」です。
最後に雇用保険料は、失業した時に失業給付(基本手当)を受ける為の保険です。勿論、雇用保険も単なる失業の時のお助けマンだけではなく、教育訓練給付や育児休業給付、介護休業給付にも活躍してくれます。
控除額はどうやって決められているの?
では、社会保険料として控除される事は解ったけど、どのようにして控除額が決められるのでしょうか。会社の社長さんの裁量一つで決まるのでしょうか? 勿論、そんな事はありません。
健康保険、厚生年金、介護保険については、4月から6月までの給料の平均額をもとに見直されます。この金額をもとにして標準報酬月額を求めて、保険料率を掛けて算出されます。つまり、この3か月間の残業が多いと保険料が上がり、給料が少なければ保険料は下がることになります。
雇用保険については、事業の種類によって料率が変わります。平成25年4月1日~26年3月31日においては、一般の事業での被保険者の負担率は、5/1000。建設の事業では、6/1000です。
私が初めて給料を頂いたときは、特に給与明細に関心はなく、いくら入っているのか(当時は、封筒に現金が入っていました)だけにしか興味はありませんでした。ましてや年金については、ただ損をしているだけのイメージでした。
しかし、病気で病院に行ったり、身内が障害を負って年金を支給されたりしている状況を考えてみると、たとえ給料から天引きされていても、会社も半分を負担してくれているこの制度。なかなか捨てたものではない、と思いませんか。(執筆者:松山 靖明)