東京ではありませんでしたが、自分が地方から都会に出て大学生活を送っただけに、どうしても「下宿生びいき」になってしまいますね。大学時代は、お金がなくてひもじいとは感じません。貧乏生活のなかに楽しみを見つけ、友情を育み、悩み、考え、成長していく数年間です。
いっぽう、親は、めちゃくちゃ苦しい。不景気で収入は減っても学費は下りません。また、かつての私どものような、風呂なし月1.5万円の家賃という下宿に、今の学生は住めないでしょう。スマホやケータイの通信費もかかりますしね。
東京地区私立大学教職員組合連合の調査によると、昨年2013年に私立大学に入学した下宿生(地方から出てきた大学生など)が親から毎月送ってもらった「仕送り額」は89,000円だったんだそうです。
この金額は、1986年度の調査開始以来の最低額。家賃が69,000円とのことなので、単純に仕送り額から家賃を差し引くと、残るのは2万円。これだけでは、いくら節約しても暮らせないでしょう。奨学金を受け取ったり、アルバイトをして稼がなければ。
ちなみに仕送り額のピークは1994年度の124,900円だといいます。この「東京私大教連」の調査は、正式名称が「私立大学新入生の家計負担調査」。仕送り額以外にも、さまざまな調査結果が公表されています。
ここでは、自宅外通学生の実態を見てみましょう。受験から入学までの費用は、以下の額です。
家賃 :60,900円
敷金・礼金:202,000円
生活用品費:290,400円
初年度納付金:1,312,526円
合計:2,105,226円
入学の年にかかる費用は、上の211万円に、4月から12月までの仕送り額を加え、294万円。最初の年の出費は実に300万円にも及ぶのです。親の平均の額面年収が901万円なので、子どもが東京の私立大学に入学したら、その年は、年収の3分の1がそれで吹っ飛ぶという計算になります。
いっぽう、自宅生のそれは153万円。東京の親はある意味、子どもの教育費という面では恵まれています。自宅外生は、そんなこともあり、奨学金を申し込む比率が7割に昇ります。
大学進学のために地方から都会に出てくる学生の気持ちは複雑です。なぜなら、親は口にしなくても、家計の状況は薄々わかっていますから。ムリをして自分を大学に行かせてくれようとしている…。
弟や妹がいる場合には、なおさら、自分が先に親のお金を使ってしまい、弟や妹が十分な教育を受けられなくなるかもしれないと思い、重い気持ちになります…「自分はもっと教育費がかからないところに進学したほうがいいかもしれない」。
しかし、親元を離れて都会に出て多くの刺激を受けたい、自分の可能性を確かめたいという張り裂けるような気持ちからも逃れられません。そんな複雑な気持ちを抱えながら大学生活を送ることに価値があるんだと思いますね。(中村 宏)