目次
1. 2013年の税制改正により、2015年1月1日以降、生前贈与を取り巻く環境は大きく変わる。
贈与税の最高税率が相続税と同じになる一方で、子や孫などに贈与する場合に、新たな税率が導入された。
2015年1月からは、贈与税の最高税率が55%にアップ(現状50%)するが、「20歳以上の者が直系尊属(父母、祖父母など)から贈与を受けた贈与財産」(特例贈与財産)に対する課税が緩和。
これは、父母、祖父母などからの贈与については、一般の贈与税よりも低い税率になるという制度。
2. 新しい贈与税の制度は、暦年贈与で威力を発揮する
暦年贈与は、年間110万円までは非課税(贈与税の基礎控除)。この制度は、誰に対しても、何人であっても、どのような財産であっても、使える非課税枠。将来相続人になれない人(例えば息子の嫁や孫など)への贈与も可能だ。
例えば、父から息子へ年間500万円ずつを4年に渡って贈与したとすると、基礎控除後で贈与税を計算すると、合計212万円。それが、2015年以降、特例贈与財産に該当すれば、税額は194万円で済み、18万円の節税ができる。
3. 暦年贈与や特例贈与での注意点
暦年贈与や特例贈与では、贈与を行ったという証拠を残さなければいけない。贈与を受ける人が贈与してもらっているということを認識し、自ら贈与財産を采配できる状態になっていることが必要。
それ以外にも110万円の贈与税非課税について、注意しなければいけない点が2点ある。
2) 被相続人が死亡すると、贈与する予定だった財産は相続財産となり、しかも相続発生前3年以内の贈与については、相続財産として引き戻しされる。
4. 相続税の基礎控除引き下げにより、生前贈与に注目が集まる。
来年1月より、相続税の基礎控除が引き下げになり、今までなら相続税を支払わないでよかった方々も、相続税を支払う可能性が出てくる。相続税を支払う可能性がある方は、生前贈与をうまく活用した節税対策が必要になってくる。(執筆者:釜口 博)