相続税の課税価格を計算する場合の小規模宅地等の特例における特定居住用宅地等とは、原則として被相続人又は被相続人と生計を一にしていた親族の居住の用に供されていた宅地等で建物の敷地の用に供されている一定のものとされています(措置法69条の3第1項)。
この場合の敷地上の建物ですが、実務上余り問題となるケースが少ないためか意外と知られていないようですが、法令解釈として通達上で所有者の制限がされています(措置法通達69の4-7)。
特定居住用宅地等における建物所有者として適用可能となるのは
・被相続人の親族
に限られます。さらに地代や家賃が発生しうる場合については使用貸借である場合に限られます。ただし、賃貸借である場合は要件を満たせば、貸付事業用宅地等の適用が可能です。
被相続人が株式100%を所有する同族法人が被相続人の宅地に建物を建築(無償返還届出を提出)し、役員専用社宅として被相続人の家族のみがそこに居住していた場合は?
その宅地は被相続人の居住の用に供していたもので、かつ、地代等の授受がなくても、建物所有者が被相続人でも親族でもないので特定居住用宅地等には該当しません。また、被相続人等の親族のみが使用していたものなので特定同族会社事業用宅地等にも該当しません(措置法通達69の4-24、下記の要約を参照)。ただし、地代の授受があること等の要件を満たせば貸付事業用宅地等の適用は可能です。
特定同族会社事業用宅地等(措置法第69条の4第3項第3号)の要件の判定において、特定同族法人の社宅等(被相続人等の親族のみが使用していたものを除く。)の敷地の用に供されていた宅地等は、その法人の事業の用に供されていた宅地等に当たるものとする。
平成27年より相続税が増税
非課税枠である基礎控除が現行の6割になります。
例:配偶者と子供2人 現行は8,000万円まで非課税
→ 27年より4,800万円まで