安倍政権は「デフレからの脱却」を目的とした経済政策を推し進めてきました。三本の矢と呼ばれる、金融政策、財政政策、成長戦略と呼ばれる政策がとられました。
デフレでないということはインフレになるということで、つまり、政府は日本をインフレにしていこうということです。
デフレから脱却するために行われた、日銀による金融緩和政策、それは市場にお金をばらまくというもので、それは円安という現象をもたらしました。デフレ脱却政策が円安をもたらしたのです。
円安になると、海外からの輸入価格は上昇します。それはエネルギー価格に影響し、昨今のガソリン価格高騰にもつながっています。輸入コストの高騰が物価高を生んでいます。これがインフレと呼ばれる、モノの値段の上昇につながってきています。
これから迎える「インフレ社会」の実像
これからは、私たちは物価高と付き合っていくことになります。デフレとインフレでは、いろんな価値観が大きく変わってきます。デフレの時は、預貯金が効率的でした。保有絶対額が変わらなくても、モノの値段が下がっていくので、絶対額が変わらなくてもその価値は上がっていきます。
しかし、インフレとなると保有絶対額が変わらなければ、モノの値段が上がっていく状況では預貯金の価値は下がっていきます。つまり運用しない限り、資産価値は上がらないということになります。
日本人の資産は、預貯金が大半を占めています。また、運用している人は少なく、預貯金しかしていない人と運用している人の間では、まちがいなく資産格差は広がっていくことになります。
さらに、TPPにより、海外労働者がどんどん日本に入ってきています。日本人でなければならない仕事と、そうでない仕事では賃金の差が生じます。賃金格差が生まれることになります。
賃金格差に資産格差、これからどんどん富を持つ者と持たない者に分かれていくのです。それがインフレの先に待ち受けている社会です。
物価が上がっても、賃金が上がれば、それでインフレを受け入れることができますが、当分は賃金は上がりません。企業業績が改善されない限り、労働者賃金は上がりません。日本では、賃金を一旦上げると下げることはかなり難しい状況になっています。賃金は企業にとってはコストです。どうしても賃金アップは、企業にとっては、長期的に収益が伸びると判断しない限り、なかなか賃金アップには踏み込めないのです。
ボーナスは業績給でも有りますから、これは上げることは容易です。ボーナスが上がることで、人々は景気が良くなったと勘違いして消費を増やします。この勘違いからの消費が、景気をよくしてくれます。でも長続きはしないので、やはり賃金アップを待たない限り、本格的な景気改善とはいかないのです。
インフレが進んで物価が上がるが当分は賃金が上がらない、家庭内収支があわなくなってきます。これがデフレから脱却したばかりの、インフレが始まった時点での社会現象です。
インフレは投資家には嬉しいことですが、投資をしない人には厳しいものなのです。
広がる格差、求められる「運用」
資本主義とは格差を受け入れることです。社会主義国ではと統制経済ですから、富の分配による平等を掲げていますが,実際には貧富の差は大きいですね。日本は「一億総中流」と呼ばれる唯一成功した社会主義経済国でした。安倍政権は、この社会主義経済を資本主義経済に変えようとしているのです。それがアベノミクスと呼ばれるものです。
繰り返しますが、これからは格差が広がる、格差を受け入れる社会となっていきます。
運用で資産価値を高めない限り、物価高による支出を補うことはできなくなるでしょう。いまから運用を始めることは、これからの社会を生き抜く上で、絶対に必要なことになっていくのだと思われます。
格差社会を生き抜くには「運用」という武器を手にする以外には方法はないようですね。(執筆者:原 彰宏)