先日久しぶりに仕事で北海道の稚内市に行く機会がありました。稚内といえば日本の最北端であり、宗谷岬ぐらいしか思い出せなかったのですが飛行機の窓から巨大な風車群が見えたので業務の合間に見に行きました。
それは宗谷岬ウインドファームという風力発電施設でありました。
上空から見ると風車がなんにもない大地に点在してささっている感じですが一つ一つの高さは約100mもあり、それが57基もあるわけであります。
車で近くまで行こうと試みましたがなかなかいい撮影スポットがわからずかなり遠景からでしか見ることはできませんでしたがそのスケールの大きさには圧倒されます。
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120億円の事業費を使い平成17年に完成させたようですが、なんでも1基が1,000Kwなので全部で57,000kw。それは、一般家庭の48,000世帯分に相当し市内の全消費全力の7割をカバーできる発電量のようです。
稚内市内にはほかにも市が行っている事業などもあり、売電目的ではありませんが中心部に近い公園に設置されているなど様々の所で強い海風を活用した風力発電の取り組みがなされているようでした。
もちろんメガソーラー施設もありますが、やはり積雪などの問題があるため純粋な民間事業ではなく、独立行政法人であるNEDO技術開発機構による実証研究のためのプロジェクトのようであり、どうやって雪や曇りでの発電量を増やすかとかいう研究が日々なされているようであります。
本州では日照の関係もありますが再生可能エネルギーは太陽光発電が中心です。それは固定価格買取制度により、なぜか同じ電気であっても太陽光発電だと高く売電できるので、いろいろな業者が参入し、ある意味活況を呈していますが、ここにきて更なる買い価格の引き下げに加え量そのものの制限の話しが出てきて、「早い物勝ち」競争に負けた事業者がぶーぶー文句をいっています。
もちろん政府の制度設計上のミスが大きいのですが、高い価格で買うことは結局一般消費者の為にならないことはあきらかですし、せっかく地域毎に違った特性があるのに、買取価格の高低で発電方法を決めてしまうのは、ホントの意味で自然を活かしているとは言えないような気がしてなりません。
そんな都会のごたごたが聞こえないほど遠い稚内では、風が吹くと「お、仕事だ仕事だ」という感じで一つの風車が回ると他の風車もくるくる回って仕事に勤しみ、ややおさまると「はーい休憩でーす」と言わんばかりにみんな休んでいます。
なんだかそののんびり感がとてもよく、こういう目で見て分かりやすく発電されているならば、「今日は風がなかったので電気がありません。というわけでみなさん早く寝ましょう」といわれてもなんか納得してしまいそうな、ある意味とってもエコな暮らしができそうでありました。(執筆者:田井 能久)