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近づく年末、聞こえてくる「使い切らねば!」の声
さて、2014年もあと残すところ…。このような季節になりますと、今年から始まったNISA口座制度について、「今年の枠は今年のうちに使い切らねば!」などといった声が聞こえてきます。筆者自身は、このコラムを書いている10月29日現在、正直、今年の残り非課税投資枠は11,800円となっており、ほぼ枠を使い切った形になっています。
果たして、これは正しい判断で、何としても今年中に使い切った方がよいのでしょうか?
筆者的な結論は、「それは商品や投資環境による!」ということです。
個別株式等の場合は…
筆者の場合は、枠のほぼ全額を個別株式に投資しています。このように個別株式等、値動きの荒く、投資環境に左右されやすいものの場合は、
(2) 一度購入した後、売却してしまったらその枠が使えなくなるので、もったいないからひたすらホールド!
などという考え方は、きわめてリスキーだと思うのです。
ストレスの要因とならないように
「年内に」ということで慌てて買ってみたものの、来年まで待てばものすごく安く買えたのに! などといったストレスはよくあることです。
また、一度買った後、「売却することによって、せっかくの非課税枠を放棄してしまう」といった心理的抵抗感が働くのもうなづけますが…。
例えば100万円分買って、半年後に株価が2倍になったとします。そこで売ったら値上がりの20%が非課税で100万円の利益ですが、売らないで5年後の価格が半値になっていたら、元も子もないどころか、特定口座の利益と損益通算もできず、またまたストレスの原因に…などともなりかねません。
「今年の枠」使うか? 使わないか? の判断は?
よって、あくまで筆者の個人的ストラテジーとしては、「個別株式等値動きの荒いものでNISAを利用する場合は、「早く買わねば枠が無くなる!」とか「一度買ったら5年間持たなければいけない」などといった固定概念・発想を取り払い、個別の業績状況やマーケット環境によってフレキシブルに動く」ということです。
当たり前のことですが、株式等の場合、今年中が一番安値で5年後が一番高値という保証はどこにもありませんので。
もちろん、一方で比較的値動きの安定したもので「インカム」中心に狙うものならば、その枠を放棄するのもどうかという意見もあるでしょう。
すなわち、今年も押し迫って来ましたが、NISA枠については、「非課税というメリットを何でどのように受けるか?」、「中途半端な意思決定ではなく、フレキシブルにやるか? 比較的安定的なものを長期保有するか?」など、しっかりとした戦略を持って使う・使わないをきめる必要があるのでは!? と考えています。(執筆者:阿部 重利)