つい先ごろまで、0.6%程度だった長期金利が、1月6日の時点では、0.285%と半減以下に低下しています。
この原因は、原油下落による中東やロシアなどの原産国およびギリシャのEU離脱や欧州などの経済状況が悪化するとの見方から、リスク回避のため株式などが売られ、安全資産とされている債券、なかでも日本の国債が買われているからです。
ということは、債券価格、つまり国債の価格が上昇していることになります。
では、なぜ、債券価格が上がれば、金利が下がるのか? そのしくみは次の通りです。
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仮に、投資家Aさんは、昨年12月に国債を発行価格98円で買いました。一方、1月になって、国債の人気が高まり、購入者が増えました。投資家Bさんも、前月より1円高かいけれど、発行価格99円で国債を買いました。
AさんとBさんの実質金利(実質債券利回り)は上表(例)のとおりですが、Aさんが買った12月とBさんが買った1月の債券価格を比べると、購入者が多い1月が高く、その結果、1月の実質利回りは、低下するしくみとなります。
これと反対に、経済状況が改善してくれば、多少のリスクを取っても、他の市場金利が高い方の金融商品を買います。そうすると、安全資産の国債が売られるので、債券価格は下がり、逆に実質利回りは上がるしくみとなります。
つまり、上表の通り、債券価格と債券利回りは、いつも逆の関係となっています。(執筆者:小林 仁志)
※公表値は、新発(しんぱつ)国債(こくさい)10年物(新規に発行する国債)の利回りを長期金利の指標としているのが一般的です。