女優・川島なお美さんが死去されたというニュースが耳に入ってきました。何かを全うする人生を送るというのは本当に素晴らしい事です。謹んで敬弔の意を表します。
このニュースを踏まえ、今回の税金お得コラムは、相続税・遺言編です。
皆さん、今、「遺言控除」の2018年導入が検討されていることを御存じでしょうか?
おそらく大多数の人が「遺言なんて書いたことがない」と言うと思います。「すごいお金持ちだけが書くものでしょ?」と。
ところが違うんです。
そもそも民法上の法制度における「遺言」とは、“死後の法律関係を定めるための最終意思の表示”をいいます(民法960条)が、この「遺言控除」によると、遺言を書くことだけで相続税が安くなる! というわけです。
制度導入の背景
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今年、平成27年1月に、相続税の改正がありました。
5,000万円 + 相続される人一人につき1,000万円が基礎控除
↓
改正後:
3,000万円 + 相続される人一人につき600万円の基礎控除
つまり、控除される額がなんと40%も減らされるという改正です。これによって、一般の家庭でも相続税がかかってきてしまうケースがかなり増えてきているという背景があるのです。
上記の様に一般の家庭でも相続税がかかってくるケースが増えるのはマズイだろうということで、2018年導入が検討されているのが、「遺言控除」です。
「遺言控除」はどんな制度?
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「遺言控除」は、
亡くなった方が生前に遺言を書いていて、その遺言に従った相続が行われれば、一定の控除を上乗せする制度です。
たとえば、以下のようなケースで考えてみましょう。
一戸建て3,000万円
株券1,000万円
貯金1,000万円
の合計5,000万円を、妻と子二人でわける
平成27年1月からの相続税の規定によると、「3,000万円 + 相続される人一人につき600万円の基礎控除」ですから、3,000+600×3人(妻と子二人)=4,800万円が基礎控除されることとなりますね。
すると、結局、夫の遺産合計5,000万円から基礎控除4,800万円を引いた残りの200万円については、相続税がかかってきてしまう! ということになります。
ただこの時もし、夫が「遺言」を残していて、そこに書いてある通りに妻と子二人に財産の分配がなされたら、300万円をさらに控除する、という制度があったらどうでしょう。(これが遺言控除)
5,000万円から基礎控除4,800万円と遺言控除300万円を引くと、マイナスになりますよね。つまり全く相続税がかからなくてすむ! ことになるというわけです。
上記の300万円という金額は仮定であり、まだ現段階では金額は定められていませんが、遺言を書くだけで相続税の節税になることは間違いありません。遺言はそもそも相続人の間のトラブルの防止にも有益ですし、これに加えて税金が安くなるということであれば今から注目しておいても損はないのではないでしょうか。(執筆者:植田 有祐)