認知症高齢者による交通事故のニュースが出ると、認知症を患う高齢者が増えていく社会に不安を感じずにはいられませんね。
今回は、地域に暮らす認知症高齢者への対策について、少しご説明をしたいと思います。
目次
国が用意した「新オレンジプラン」とは
実はオレンジプランと呼ばれる「認知症施策推進5か年計画」が、2013年からありました。これは、政府が認知症に関する知識や環境を2017年までの間に、周知、整備するという内容のものでした。
10年後、5人に1人が認知症に
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あと10年もすると、第一次ベビーブームだった世代、いわゆる団塊の世代が、後期高齢者とよばれる75歳以上に達する時代が訪れるためとも言われています。
厚生労働省は、2012年の調査では462万人であった認知症高齢者は、今から10年後の2025年には、約700万人に増加すると発表しました。これは、65歳以上の5人に1人が認知症高齢者という計算になります。
そこで、構想にすぎないオレンジプランを本格化する為に、今回、「新オレンジプラン」として改定されました。
新オレンジプランは、「認知症施策総合戦略」と名付けられていて、まさに市区町村レベルで認知症の方を支援していこうと考えられています。
新オレンジプランの目的は2つ
1、地域が認知症をサポート
認知症になっても、住み慣れた地域で医療や介護を受けることで、長く暮らしていけるよう、事業の展開を目指します。
2、認知症の早期発見と対応
認知症への早期対応により、事前的にサポートできるような組織づくりをしていきます。
他に、オレンジプランから引き続き、認知症への理解や、若年性認知症への施策の強化、認知症の予防法や診断法などの普及、認知症の方と介護者への支援の強化などを掲げています。
実際、地域はどう変わる?
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地域に認知症の方が増えると、まずは車の運転の事故など、ニュースで出るようなことが当たり前になってしまいます。
認知症初期の方は、見た目や会話だけでは認知症であることが容易にはわかりません。ご本人も認知症の理解がないのですから、病院を勧めても必要ないといって拒否されるケースも少なくありません。
2018年までに、認知症の早期・事前に対応、支援ができる「認知症初期集中支援チーム」、「認知症地域支援促進員」が、全市町村に配置され、相談業務や地域に合わせて医療や介護サービス、認知症カフェなどの企画、設置をなどをしていきます。
介護スタッフへの研修も強化し、認知症介護の知識を持つ介護スタッフが増えていきます。
介護は私だけじゃない
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「認知症の家族を持つと、隠しがちで介護していた時代」が終わろうとしています。
介護者である家族も、認知症の本人の尊重しながら介護資源を上手く利用して自分の生活ができる。家族が仕事を続けることができ、本人も安心して暮らすために地域もサポートする準備をしてくれているのが新オレンジプランです。
「介護はひとりで抱え込まないこと」これが常識になりつつありますよ。(執筆者:佐々木 政子)