物忘れから始まり、認知症の症状がみられるようになると、電話の対応ができない、約束を忘れてしまう等、いろいろなトラブルが目立つようになります。
最近では認知症高齢者の運転による交通事故がよくニュースになりますが、トラブルの中には、お金にかかわるものも少なくありません。今回は、よくあるお金のトラブルを3つお伝えしたいと思います。
目次
1. お金を盗られたなどの「盗られ妄想」
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認知症の初期に起こる、
盗られ妄想の代表的なものは「お金」です。
私がこれまでにお会いしてきた認知症高齢者をもつご家族の多くは、「お金がない、あなたが盗ったにちがいない」と疑われ、困った以上に悲しかったと語られます。
対策
お金が盗られたと妄想し、疑われたご家族はショックを受けますが、この妄想の原因は認知症による症状の1つなので、ケアマネージャーや医師など専門のスタッフに相談して上手く対処することが大切です。
専門のスタッフに相談するとは、1つ目から対策になってないように感じるかもしれませんが、ここは認知症の初期でご家族はショックもあるでしょうからプロの力を借りるのが良いと思います。
盗られ妄想は、認知症が進行すると消えていく症状です。
2. 訪問販売による被害
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認知症高齢者は判断力が低下しているので、訪問販売により高額な商品を購入してしまうケースが多く報告されています。
訪問販売については、一人暮らしの認知症高齢者は注意が必要です。ご家族と同居されている方でも、日中はご家族が不在で、一時的に1人で過ごすことがある方も注意しましょう。
認知症の方は、自分が購入したことを忘れてしまうため、何度も同じ被害にあってしまうことも少なくありません。
対策
認知症高齢者が住む家の中の様子をたまに確認しましょう。見慣れない名刺や、高額な商品、契約書、請求書、領収書などが増えていないかにも注意しましょう。
被害にあったことになるべく早く気付くことが被害を広げないポイントです。
お近くの消費者生活センターや、警察の生活安全課に相談にいきましょう。弁護士会でも相談を受け付けてくれることもあります。
ご家族の見守りが届かない場合は、お住まいの民生委員による見守りを頼んだり、ホームヘルパーの派遣を依頼することも有効です。
主な被害の内容は、
などがあげられています。これらの内容を事前に知っておくだけでも、悪徳訪問販売への早い対応が期待されます。
3. 日常のお金の計算が難しくなる
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認知症が進行してくると、日常に行なっていたお金の計算が難しくなり、お釣りの計算ができなくなったり、ATMの操作も難しくなります。
対策
お買い物をする時はご家族がつき添えれば良いですが、離れて住んでいる場合などはお住まいの地域の「日常生活自立支援事業」を利用することで、日常的なお金の管理を手伝ってもらうことができます。
「日常生活自立支援事業」では、お元気でお変わりなく生活されているか見守ることや、貯金通帳や、印鑑、重要書類などを預かってくれます。
認知症高齢者の方もご自分の財産を大切に守りたいものです。不安な様子のある時は地域包括支援センターのスタッフに相談しましょう。介護スタッフはいつでも認知症高齢者を守ろうと考えています。(執筆者:佐々木 政子)