介護保険が始まって15年。介護保険料は右肩上がりに増え続けています。
働きざかりのうちは、介護保険の必要性を実感できない方のほうが多いのではないでしょうか。また、高齢の方が少ない年金から支払うのも負担が大きいというのも現状です。
だからといって支払わなかったらどうなるのでしょう。今回は、介護保険料の滞納について少し触れていきたいと思います。
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目次
介護保険料の徴収方法
40歳以上65歳未満(第2被保険者)は、健康保険料に介護保険料が含まれています。また、65歳以上の第1被保険者で年金受給額が年間18万円以上の人は、年金から天引きされています。
年金受給額が年間18万円未満の人は、市町村が送付する納付書又は市区町村の窓口で支払うようになっています。
滞納すると…
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40歳以上65歳未満の第2被保険者については、公務員や会社員である場合、
保険料を支払うことで受けられる様々な給付が制限され受けられない場合があります。
65歳以上の第2被保険者については、実際に介護サービスを利用する可能性が高い為、滞納期間により3つに分けて示されています。
1. 1年以上の滞納
介護サービスの利用料について通常は1割(2割)である負担額が全額自己負担になります。しかし、申請することで9割(8割)が返還されます。
2. 1年6か月以上の滞納
介護サービスの利用料については、1年以上の滞納者と同じく全額自己負担となります。申請すれば、9割(8割)が返還されますがその1部又は全部が差し押さえらます。
差し押さえられた返還分から、滞納した保険料が差し引かれることになります。
3. 2年以上の滞納
本来は1割(2割)の自己負担額で利用可能な介護サービスの利用料金が3割に引き上げられてしまいます。また、高額介護サービス、居住費や食費などの減額制度も受けられない場合が生じます。
一度介護が必要になると、長期にわたることが予想される中で、様々な制限を受けることは避けたいものです。介護保険料が、今以上に右肩上がりにならないように国も対策を練っているところです。
例えば、要介護度5の方が2年以上の滞納で、1割で済んだ介護サービス利用料の自己負担額が3割負担となった場合を考えてみると、1か月に36万650円の介護サービスを1割負担の3万6065円で利用できたものが、3割負担では、10万8195円を自己負担することになります。
まず、滞納する前に介護保険料の支払いが困難である場合は、ひとりで抱えこまず市区町村の介護保険の窓口に相談にいきましょう。徴収猶予や、減免などの措置を受けられる場合があります。なにごとにも早めの対応が有効ですね。(執筆者:佐々木 政子)