日本は、国民皆年金制度によりいずれかの公的年金に加入しなければなりません。しかし、収入が少なく、年金の保険料を納めていては生活がままならない方もいらっしゃいます。そこで、国民年金の保険料の免除制度というものがあります。
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保険料の免除制度の種類
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国民年金の保険料の免除制度は、法律による「法定免除」と、本人からの申請による「申請免除」があります。「法定免除」は、障害基礎年金の受給者や生活保護(生活扶助)を受けている方は、届出をしその期間は保険料が免除されます。
また、「申請免除」は、前年の所得(本人だけでなく、配偶者や世帯主の所得も勘案されます)が少ないなどの理由で保険料を納めることが困難な場合、全額免除、半額免除、4分の3免除、4分の1免除の4種類があります。
この免除制度は、老齢基礎年金額について全額ではありませんが一部年金額にも反映されることになっています。
前年の所得によらず保険料の免除ができる場合があります
失業した場合や天災などの被害を受けた場合などにも申請をして承認されると免除を受けられます。また、DV被害など配偶者からの暴力を受け、夫婦で居住する場所が異なる場合も、本人の前年所得が一定以下であれば、保険料の全額または一部が免除になります。
納付猶予の特例もあります
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国民年金の保険料の納付について、以下の場合に申請をして承認されると保険料の納付が猶予(10年以内)されます。20歳以上の学生で、本人の前年所得(学生の場合は本人のみ)が一定基準以下なら「学生納付特例制度」があります。
また、30歳未満の方で、本人の前年所得(本人及び配偶者)が一定額以下の場合には、「若年者納付猶予制度」があります。この制度は、平成28年7月より50歳未満まで引き上げられる予定です。
なお、この納付猶予制度は、免除と違い将来の年金額には反映されないことになっていますので、猶予を受けた期間については後から「追納」をする必要があります。
「免除・猶予」と「未納」の違いについて
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国民年金の老齢基礎年金を受給できるには、受給資格期間が最低でも25年間ないと受給できません。
受給資格期間とは、保険料の納付済み期間や保険料の免除期間、保険料の猶予期間を合算した期間のことをいいます。(これは、年金額に対するものでなく、老齢基礎年金の受給権の発生要件となっています。)
そのため、申請をしないで「未納」にしたままにすると、将来、老齢基礎年金が受給できないということもあります。また、あまりにも「未納」がある場合などは、障害年金や遺族年金についても受け取ることができなくなることがあります。
「未納」の保険料を納付しましょう
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国民年金の保険料は2年を経過してしまうと時効により、納付できなくなります。しかし、平成27年10月から平成30年9月までの3年間に限り、過去5年分まで国民年金の保険料を納付できる「後納制度」があります。(執筆者:社会保険労務士 高橋 豊)