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介護離職はしない! させない! と唱えられるばかりで、どうしたら介護離職を避けることができるのか、具体的な方法が提示されません。
これまで、介護離職をしないほうが良い理由については、何度かご説明してきましたが、介護離職をしないためにはどうするべきなのかが盲点になっていました。
今回は具体的にどうしたら介護離職を避けられるのか、という盲点にせまってみようと思います。
目次
情報収集は成功のカギ
介護が始まる前でも、または介護が始まっている方も、あなたの住む地域のもつ介護力と、要介護者が離れた場所にお住まいになられている方は、その要介護者の住む地域のもっている介護力の情報を集めることです。
介護に役立つ情報を集めることで、いろいろな選択肢があるということがみえてきます。介護に役立つ情報を知ることは選択肢を増やしてくれます。
例えば地域に、浴槽を持ち込んで入浴させてもらえる巡回入浴サービスがあると知っていれば、今必要な情報ではなくても、いずれ親が寝たきりになった場合に、自宅でも湯ぶねに浸かって入浴させてあげられることがイメージができます。
介護がめずらしいことではなくなった今では、いたるところに情報があるので、介護が始まったらすぐに利用ができて、いろいろなサービスが身近にあると錯覚してしまいがちになります。
情報はここにある、地域包括支援センター
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インターネットで調べるのもよいですが、まずは、市区町村に複数設置されている
地域包括支援センターへ足を運んでみましょう。
地域包括支援センターは、ケアマネージャーや社会福祉士などの専門のスタッフがご家族や高齢者の方々の介護の総合的な相談に応じてくれる窓口となっています。
介護については、ご本人の身体状態や生活スタイル、家族の介護力や関係、経済面などお一人お一人が違います。
自分では気づかなかった良い方法を提示してもらえることもありますし、必要になれば、介護保険の手続きやサービスの利用までの手配も行なってもらえます。
このほか、お住まいの地域の自治体の福祉担当窓口にも、介護関係のパンフレットや公報誌が用意されています。最近では、病院などにも地域の情報共有として、地域の介護サービスや施設などのパンフレットが置かれているケースもあります。
病院に入院されることがあれば、病院の地域医療連携室などに相談してみると、パンフレットや公報誌などからでは読みとれない情報を得ることもできますよ。
意外と近くにも情報アリ
会社の同僚や友人などにも聞いてみましょう。会社の介護経験のある人から就業規則のことや、会社の福利厚生サービスがあるなどの情報が得られる場合もあります。
ご近所の人は、介護サービスの地域の評判や、良い医療機関などの情報もよく知っていることが多いので、積極的に聞いてみましょう。
声をかけるのが苦手な方もいるかもしれません。しかし、介護は人々の中で既に他人事ではなくなりつつあるので、もしかしたらお互いが聞いてみたいなと思っている議題になっているような気がします。案外、気軽に応えてくれるものです。
介護経験・情報を共有することの大切さ
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インターネットの世界でも、介護の経験談や掲示板などの情報がたくさん集まっています。
皆さんが、いろいろな工夫をされながら仕事と両立をやりくりされているのが見えてきたり、ご自分も介護日記などを公開することで、無償の介護に色をつけることができ、より一層前向きな気持ちが持てるきっかけになります。
親が認知症を発症された場合には、これらの情報がとても有効なります。
情報が増えることは、選択肢が増えることにつながります。選択肢が増えることで介護と仕事の両立を維持できる可能性が高くなります。
最初にたくさん情報を集めておくことが、カギになります。カギを作ってしまえば、あとは少しずつ自分の介護というカギ穴を開けていくだけです。うまくカギ穴に合わなくなったら、また情報を集めてカギを作りましょう。
介護と仕事の両立を長く続けるコツは、くれぐれも頑張りすぎないで、地域のもつ介護力にもっとよりかかってみることですよ。(執筆者:佐々木 政子)