確定申告の時期が近づいてきました。慣れている方でも年に一度のイベント、忘れていることあって億劫さを感じる方も多いことでしょう。といって、税理士にお願いすると報酬がかかります。
実は、不動産所得の確定申告って意外と簡単なのです。
ということで、今回は不動産所得の会計処理から決算、申告までのポイントをまとめました。このコラムを読んで、是非自分で申告してみて下さい。
目次
会計処理から申告書作成の大きな流れ
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会計処理から申告書作成までの大きな流れは以下の通りです。
1. 会計ソフトに入力 毎月の収入と経費を会計ソフトに入力
↓
2. 1年分の集計
収入及び各経費を青色申告決算書(不動産所得用)又は収支内訳書(不動産所得用)に転記
↓
3. 所得の計算 所得=収入-必要経費
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4. 所得控除の記入 社会保険料控除、生命保険料控除、配偶者控除、基礎控除など
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5. 税額の計算 課税所得×税率
不動産を所有する方の確定申告の3つのポイント
ポイント1 毎月ほぼ同じなので会計処理、決算書の作成は意外と簡単
毎月の取引を帳簿に記録する、いわゆる「簿記」ですね。難しそう思って二の足を踏んでいる方もいるでしょう。実は、不動産経営の簿記は意外と単純で簡単なのです。
不動産の処理は毎月ほぼ同じ、ここがポイントです。
収入、つまり賃借人からの賃貸料は1年通してほとんど変わりませんね。つまり、1月分を作ることができれば、2月分以降はそのコピペでOKなのです。
経費も同様です。日付と金額は多少変わりますが内容、相手先はほとんど毎月同じです。ですので、経費も1月分のコピペ&一部修正で出来上がります。
会計ソフトは入力画面が複式簿記の形態になっています。とにかく、1月分を何とか作り上げましょう。簿記が苦手だと思っている方でもできそうですね。
ポイント2 経費の計上方法 計上可能な経費
できるだけ経費は計上したい。でも、どんなものが経費として計上できるのか悩むところです。不動産所得の計算で必要経費に計上できるものは、
(2) その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額
簡単に言いますと、不動産賃貸経営に必要な支出ということです。
具体的には、主なものとして、
2 損害保険料: 火災保険、地震保険
3 減価償却費: 不動産所得の計算において大きな部分を占める経費です。
4 修繕費
5 借入金利息: 借入金の元本部分は経費にはなりません。
6 管理手数料、管理費: 不動産会社への管理手数料
それ以外で経費になりそうなもの
8 通信費: 賃貸物件にかかるインターネット、ケーブルテレビの回線料
9 消耗品費: 賃貸物件にかかる電球
10 新聞図書費: 賃貸経営に必要な書籍代
11 交通費: 賃貸物件への交通費
12 接待交際費: 管理を委託している不動産会社との会食、お中元、お歳暮
13 その他税理士費用など: 税理士の顧問料、決算料
意外なところに経費が発生しているかもしれません。今一度支出の点検をしてみてはいかかでしょうか。
家事費と言って私的な支出は経費にできませんので注意しましょう。
ポイント3 青色申告でメリットを生かしましょう!
青色申告の適用には、
・貸借対照表、損益計算書を作成する
などの要件がありますが、すでに述べたように会計ソフトは、入力画面が複式簿記の形になっていますし、貸借対照表、損益計算書も作成してくれます。
今まではこれらの手間をさけるために敢えて白色を選択されていた方もいたようですが、平成26年1月から白色の方でも記帳と帳簿の保存が必要となりました。
どのみち記帳するのであれば、青色の特典には青色申告特別控除、青色事業専従者給与、純損失の繰越控除などメリットの多い青色で申告しましょう。
メリット1 青色申告特別控除
事業的規模以外 10万円
事業的規模(目安は5棟10室以上) 65万円
軽減できる税額で言うと 控除額×税率
メリット2 青色事業専従者給与
生計を一にする配偶者や親族に給与を支払うことができる。経費が増える。
メリット3 純損失の繰越控除
まだ、青色申告にしていない方は、平成27年の申告書と共に青色申告の申請書を提出して平成28年分からは是非青色申告にしてみてはいかかがでしょうか。(執筆者:本間 慶喜)