こんにちは! 国際フィナンシャルコンサルタントの荒川 雄一です。
さて今回も引き続き「ホームカントリーバイアス」をテーマにお伝えしたいと思います。
前回は私たちの年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用の変遷を見てきましたが、今回は個人投資家の状況から観ていきましょう。
個人投資家のホームカントリーバイアス
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個人投資家には一体どのような傾向があるのでしょうか。
先般フランスの調査会社キャップジェミニが世界の資産額100万ドル以上保有する富裕層を対象とした「2014年版ウエルスレポート」を発表しました。
それによれば最もホームカントリーバイアスが高かったのが“北米の68.1%”でした。
次いで日本が62.6%、欧州が60.7%となっています。
北米が高かったのはやはり米国の市場規模が大きく、またグローバル企業の多くが上場しているためと考えられます。
日本の場合、調査対象となった富裕層232万6900人の地域別の構成比は以下の通りです。
アジア 11.9%
北米 11.1%
南米 4.9%
西欧 3.6%
アフリカ 2.7%
中東 1.8%
東欧 1.4%
このようにみるとやはり“日本偏重”が鮮明に見えてきます。
ただし、この中には株式投資の資金も入っていると考えられます。
個別株式の場合、海外からの情報は限られるため当然自国市場が中心となります。
従って、この数値をもって「日本への投資配分が高すぎる」とは必ずしも言えません。
但し投資信託などのファンドを用いて「ポートフォリオ運用」を行う場合は、少し話は変わってきます。なぜなら、プラン構築時における「アセットアロケーション」は非常に重要なポイントだからです。
通常は上記のような配分比率にはなりません。
従って運用商品によって、この「ホームカントリーバイアス」の捉え方も、変わってくるということです。
安倍首相の“新たな3本の矢”でもある「日本のGDP600兆円を目指す」ためには、日本への“バイアス”をもっと高めないと達成は困難かもしれません。
とはいえ、日本の景気・財政政策との共倒れは、個人には“リスク”が大きすぎます。
ここはやはり「アセットアロケーションの王道」を貫いていったほうが、安全性は高いといえるでしょう。
「ホームカントリーバイアス」を理解したうえで、是非「運用プラン」の構築を考えていただきたいと思います。(執筆者:荒川 雄一)