超高齢化社会の日本では、老老介護や親の介護、お孫さんが祖父母の介護を担っているご家庭も少なくありません。
特別養護老人ホームの待機や有料老人ホームの宣伝をみると施設入所を考えがちになりますが、実際には高齢者の90%以上の方は、住み慣れたご自宅で暮らしていらっしゃいます。
その中でも要介護度が重い方は訪問介護や通所介護などの介護保険サービスを利用しながら生活を成り立たせていらっしゃいます。
両親と離れて住む子どもが増え、一人暮らしや高齢者のみの世帯も増え続けている現状もあります。
お一人暮らしの高齢者にとって、介護が必要になった場合には、昼間は訪問介護のヘルパーが来てくれますが夜間は一人で過ごさなければなりません。
離れて暮らす子どもにとっても、高齢の親の一人暮らしは心配なものです。
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目次
高齢者のくらす環境に変化
高齢化のすすみ高齢者が増え続けている日本では、高齢者のくらしのスタイルが徐々に変わり始めているようです。
高額な入居金を支払い、生活の自由が少ないイメージのある有料老人ホームは敷居が高く、まだ早いかな? と考えてたときに、ちょうど良い高齢者向けの住宅があるのをご存知でしょうか。
サービス付き高齢者向け住宅と呼ばれている、高齢者が入居できる、見守り生活相談付きの賃貸住宅です。
今回はこのサービス付き高齢者向け住宅にスポットをあててみたいと思います。
サービス付き高齢者向け住宅とは 4つの特徴
このサービス付き高齢者向け住宅は、2011年の「高齢者の居住安定確保に関する法律」の改正により創設されたのが始まりです。
高齢者向けの住宅として基準があるため、一定の広さと設備を備え、段差の解消や手すりが設置されており、廊下の広さなども配慮された住宅になっています。
(2) 見守り
状況把握と生活相談が付帯されており、生活相談や安否確認のサービスを受けることができます。
(3) 地域密着型
地域の介護サービスや医療サービスなどの資源を利用できます。
(4) 安心契約、安心価格
居住の安定を目指した賃貸契約をすることと定められているため、長期の入院などを理由に貸主から一方的に解約されることはありません。
老人ホームとは違い、契約すると賃貸借権を得ることができます。
貸主との賃貸借契約をした後は毎月の家賃や共益費を支払いますが、貸主は敷金、家賃、サービス料以上の金銭を徴収してはいけないことになっているので、資金面でも安心して暮らすことができます。
どんな人が入居できるの?
一般的に60歳以上の高齢者は元気な方はもちろん、要介護状態にある方も入居できます。
また、要支援、要介護の認定を受けていれば60歳未満の方でも入居が可能であるとされています。
サービス付き高齢者向け住宅の3つのメリット
1. 安心感して暮らせる
メリットととして1番にあげられることは、賃貸住宅で暮らしている感覚でありながら、「一人ではない」という安心感です。
高齢者のみの世帯やお一人暮らしの不安は、何かあったときに誰にも助けてもらえない環境で暮らしていかなければならないことです。
サービス付き高齢者向け住宅の場合には、スタッフやほかの高齢者の方が側にいるので安心感を得ることができます。
2. 生活全般の支援が受けられる
サービス付き高齢者向け住宅では、生活支援員などによる生活相談を受けることができます。
高齢者の困っていることや介護サービスの利用についての相談やアドバイスを気軽に受けることができます。
3. 介護サービスや医療が受けやすい
サービス付き高齢者向け住宅には、介護保険の訪問介護(ホームヘルパー)や通所介護(デイサービス)などの事業所が併設されているところが多く、入居者が介護保険サービスを利用しやすいよう工夫されています。
クリニックや薬局、訪問看護ステーションが併設されているところもあり、医療サービスを受けやすい環境もあります。
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生きがいがもてるサービス付き高齢者向け住宅での生活
入居前にお一人暮らしをされていた方は、一日中誰とも話しもせず、ただテレビを見ているだけの毎日の繰り返しになりがちです。
サービス付き高齢者向け住宅に住み替えたことにより、ほかの高齢者の方と毎日話すことができたり、スタッフの支援を受けながら自分でできることを増やしていくことができます。
またご家族と暮らしていたけれど、自分でまだできることも家族がやってしまい、家庭の中での役割を失って生きがいをなくされていた方にもおすすめです。
サービス付き高齢者向け住宅では、「自分にもまだできることはある」、「人の役に立てる」と生きがいを取り戻していただくきっかけがたくさんあるといえます。
サービス付き高齢者向け住宅で働いているスタッフは、お一人おひとりの心身状態をきちんと把握して対応し、これからの人生を生き生きと送ってもらえるよう、こころがけています。
高額な有料老人ホームに頭を悩ませている方は、是非、住み慣れた街、暮らしたい街のサービス付き高齢者向け住宅を一見してみてください。
これからの介護予防や地域密着型の介護には欠かせない居住スタイルになると注目されていますよ。(執筆者:佐々木 政子)