認知症高齢者による徘徊による交通事故や、交通機関の事故を誘発してしまう事態が注目を浴びることは、誰もが他人事ではないという心配からではないでしょうか。
老人ホームのような老人施設でも認知症高齢者の徘徊の症状が現れてくると頭を抱えてしまいます。
ご本人を尊重しながらも、危険のないように徘徊を見守るしかありません。
介護のプロでも徘徊は難しい対応です。
徘徊する認知症高齢者にも目的はわからないのですが、歩きたい気持ちには理由があるので、ごまかしながら対応するしかないというのが実際の現場です。
徘徊があると介護施設に伝えると拒否されることがあるのはこのためです。
本来であれば自宅で大変である認知症高齢者こそ受け入れなければならない介護施設でこそ、介護職員の余力がないというのもおかしな現実です。
では、ご家庭での徘徊への対応はどうしたら良いのでしょうか。
既に介護されている方にとっては、実行しているという方もいるかもしれませんが、改めて確認することでほっとできることもあります。
今回は徘徊と、徘徊真っ最中で外に出たくて仕方のない認知症高齢者の方への対応の方法をお知らせしておきたいと思います。
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目次
まずは「徘徊」について理解しましょう
認知症の基本的な症状は「忘れること」、「わからなくなること」、「できなくなること」といわれており、徘徊の行動は、基本的な症状に伴い生じてくる感情の変化や行動の異常のひとつとして徘徊がみられるようになります。
徘徊は、じっとしていると落ち着かず、不安を紛らわそうとして目的もなく歩き回る行動を言います。
徘徊が始まると家に帰れなくなるというイメージがありますが、初期の頃では徘徊して外に出ても家に帰ることはできます。
しかしながら認知症の方は気分にムラがありますので、時には戻れなくなることもあるのが実際のところです。
ご自分なりに目的をもって出かけていく方もいます。
目的先は、買い物、親戚や友人の家、退職した会社、自分の生まれた家などがよくいわれます。
徘徊は、「家に帰ります」と言うだけの方と実際に出て行く方がいます。
私の経験からすると夕方の忙しい時間帯になると、きまってソワソワし始め、落ち着かなくなる方が多くなるような気がしています。
特に女性の高齢者にとっては、早く家に帰って家事をしなければならないといったような気持ちが強く現れるようです。
さて本題の徘徊が始まってからの対応の方法についてお伝えしたいと思います。
徘徊への対応、初めの7つ
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徘徊への対応は個人差が大きいので今回は、まず知っておくと安心できる7つのことをあげておきたいと思います。
1. 記名しておく
一人で外出しても帰る場所がわかるように、上着や下着に氏名、住所、電話番号を書いておきます。
2. 玄関に張り紙
「締切」などと書いた紙を玄関に貼っておくことも一時的な効果があることがあります。
3. 一緒に徘徊
介護者にゆとりがあるようであれば、一緒に歩きます。
介護者も自分のウォーキングだと思って、コースを決めてリラックスした気持ちで付き合いましょう。途中で喫茶店に寄るなどしても良い気分転換につながります。
4. 偶然は徘徊の気分を変える
一緒に歩くことを本人が嫌がることもあるでしょう。
そのような時は後ろからついていき、ある程度歩いたら偶然を装って声をかけて、一緒に家に戻るようにします。
声をかけることで徘徊の気持ちがおさまり、スムーズに帰宅してくれることも多くみられます。
5. 外出の機会を
なるべく外出の機会があると気分も晴れるので、介護者が買い物へ出る時には一緒に連れ出すようにしましょう。
6. 外出した合図をつける
一人で出かけると戻れなくなる日が続くようであれば、玄関のドアにブザーをつけたり、手の届かないところに鍵をつけておくのも有効です。
ただし、鍵をつけるのはあくまでも介護者が見守りができない時や夜中に介護者も安心して体を休める為です。
日中に本人が外出したいと希望したら、外出できる配慮は忘れないようにしましょう。
徘徊を我慢させることは難しいことですし、暴力的になったりと逆効果になることもあります。
徘徊は一時的な期間で消えていく症状ですので、今だけと気持ちを割り切って、できる範囲で徘徊に向き合うことも1つの対応になります。
7. 地域の支援に頼る
ご近所さんや近くの交番などにも協力をお願いしておくと安心感が持てます。
介護者の心配は精神的な疲労につながります。これからの日本は地域で支え合う介護に準備を重ねています。
できるだけ多くの地域の助けを借りることは、介護の負担軽減に偉大な効果をもたらしてくれるものです。
本音は、いつも介護してくれているあなたに感謝しています
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認知症に対する偏見は大分なくなり、認知症と明確に分かることは人からの支援もうけやすいですが、同時に
詐欺グループからの標的にならないよう、気をつけることも、忘れてはいけないポイントですね。
認知症の異常行動や言動などは、個人差があります。
ご本人は辛かった思いなどを思い出して愚痴をこぼしたり、悲しみにくれたりすることがあります。
こうした行動や言動は、ご本人の人歴史に基づいて現れているように思えてなりません。
いつも違うことを言われて否定したくなる時もありますが、ご本人が歩まれてきた人歴史を尊重しながら、寄り添うような認知症介護は結果的に症状を安定させてくれます。
良心的に介護していても皮肉も言われることもあるでしょう。しかしそれは認知症という病気の影響なのです。本音は、いつも介護してくれているあなたに感謝しているものですよ。(執筆者:佐々木 政子)