ここ数年、そして最近の大規模な地震の発生により、私たちは複雑に入り組んだ断層の上に生活していることが分かっています。
また、どこに居ても自然災害に遭う可能性があることを強く実感しているのではないでしょうか。
そこで今回は、いざという時に冷静に対応していただくために、災害時に受けられる社会保障の特例措置についてお話しします。
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目次
【Q1】 取り敢えずは助かったけれども、着の身着のまま出てきたので病院へ行けない。どうすればいいの?
今回の熊本県で発生した地震では、保険証を持たずに避難している方であっても
(2) 生年月日
(3) 電話番号
(4) 加入している健康保険組合や、けんぽ協会等の名称
を伝えると、保険診療を受けることができる特例的な措置が取られています。
また一般的には、災害等発生から6か月以内の期間に限り、震災・風水害・火災、もしくはこれらに準ずる災害によって、住宅が半壊もしくは全壊、一家の生計を担っていた方が行方不明等になった場合には、病院での窓口負担金(治療費の30%)が猶予されます。
窓口負担金の猶予に関しては、加入する健康保険組合もしくは、けんぽ協会等が発行する「一部負担金当免除証明書」が必要となります。
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【Q2】 会社が被災し、暫くは会社の事業が再開できないらしい。休業中の生活はどうしようか?
災害によって会社が休業せざるを得ない状態にある方は、雇用保険の失業保険(基本手当)を受給できる特例措置があります。
これは、実際に離職しておらず、会社の事業再開後の再雇用が予定されている場合でも受給できます。
但し、この場合の失業保険の受給にあたっては、会社が災害救助法の適用を受ける地域内にあるかどうか等の条件があります。
また、この特例措置で失業保険を受け取った場合、会社の休業後に勤務を再開し、雇用保険の被保険者となっても、休業前の雇用保険の被保険者期間は通算されません。
ご留意ください。
【Q3】 生活の立て直しや、会社の事業の再開準備で手一杯。とてもじゃないが、年金の保険料を払うことができない
震災・風水害・火災、もしくはこれらに準ずる災害が原因で、個人の住宅等がその価格の2分の1以上の被害を受けた時、または会社が被災したことにより財産等に相当の被害があった時を想定し、年金等の保険料を一時的に猶予又は、免除する措置があります。
国民年金に加入される方については、保険料の特例免除、納付猶予の措置があります。
また、会社等の事業主には厚生年金保険料等の納付の猶予措置があります。いずれも年金事務所で手続することになります。
現在、厚生労働省のホームページでは、熊本県で発生した地震について、随時、個別の対策等を発表しております。
ぜひ、ご覧ください。
最後に、1日も早く、必要とされている方に必要な物資や支援が届きますよう、併せて被災地の復旧・復興をお祈り申し上げます。(執筆者:岡村 ひろ子)