最近では、「デイサービス」の送迎車が街を走る姿も珍しくなくなってきました。
送迎車には施設の名称が書かれているものですが、よく見ると「デイサービス」と「デイケア」と書かれている送迎車があることにお気づきでしょうか。
または介護サービスを利用しようと考えているご家族の方は、「デイサービス」と「デイケア」は何か違うのか疑問を持たれたこともあるかと思います。
「デイサービス」と「デイケア」は同じ通所系サービスなのですが、利用する目的と利用料金に違いがあります。
過剰な介護サービスの利用で損のないように2つの違いについて、お伝えしておきたいと思います。
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目次
目的が違う
(1) 「デイサービス」の目的
自宅で介護を受けながら暮らす高齢者は社会的な孤立になりがちです。
デイサービスセンターなどの施設に通い、レクリエーションを行ったり、日常生活の援助を受けることで社会的な孤立を解消する目的をもっています。
また、同時に家族などの介護者の休息や自分の時間を確保してもらうことにもつながっています。
活動内容としては、食事や入浴といった生活支援とともに、ゲームや体操をみんなで楽しんだり、季節の行事や趣味活動などを通して、日常生活にメリハリをつけるような活動内容になっています。
(2) 「デイケア」の目的
基本的には「デイサービス」と変わりはありませんが、「デイケア」の場合には、リハビリテーションという要素がプラスされています。
デイケアの正式名称は「通所リハビリテーション」といいます。
この名称からもご理解いただけるように、「デイケア」では、リハビリテーションを行うことにより利用者の生活機能の維持と向上をはかることを第一の目的としています。
活動内容としては、専門的な器具を利用してリハビリを行ったり、理学療法士や作業療法士といった専門家による運動機能の向上、栄養改善、口腔機能向上などのリハビリが行われています。
また、リハビリの他に「デイサービス」で受けられるような食事、入浴などの日常生活の支援やレクリエーションなどの楽しめる環境も用意されています。
利用料金が違う
(1)「デイサービス」の利用料金
「デイサービス」の利用料は、施設の規模(利用人数の数)と、利用時間、利用者の要介護度によって異なります。
要介護度3の利用者が通常規模の「デイサービス」に6時間滞在し利用した場合の基本利用料金=780円(780単位)
基本の利用料の他に、入浴、個別機能訓練や口腔ケアなどのサービスを利用するとそのサービスの利用料が加算されることになります。
例)
入浴を利用した場合=要介護度に関係なく一律1日50円(単位)が、基本利用料金に加算されます。
(2)「デイケア」
「デイケア」は「デイサービス」と同じように施設の規模、要介護度と利用した時間により異なりますが、「デイサービス」に比べて、利用時間が細分化されており基本利用料金が細かく設定されています。
「デイサービス」に比べると利用料金は高めの設定になっています。
要介護度3の利用者がデイケアに6時間滞在し利用した場合の利用料金=1,022円(単位)
入浴や口腔ケアなどのサービスは「デイケア」で受けた場合でも、加算の料金はデイサービスと同じ金額になります。
例)
入浴を料金した場合には、要介護度に関係なく一律1日50円(単位)の加算になっています。
「デイケア」ではその他の特別なサービスとして、専門職の配置や、リハビリテーションの種類の加算項目が様々なので、利用を開始する前に事業者から十分な説明を受けておくと安心です。
「デイサービス」と「デイケア」の大きな違いを2つお伝えしましたが、違いはなんとなくお分かりいただけたでしょうか。
最後に「デイサービス」と「デイケア」を利用する場合の、介護費用の節約のコツをお伝えして終わりたいと思います。
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介護費用節約のコツ
(1)「デイケア」の利用は必要な期間に絞る
病気や怪我の回復にリハビリが必要な場合には、「デイケア」は効果が期待されます。
自宅での過ごし方などに合わせたリハビリも考えてもらえる為、自宅で安全に快適に暮らせる手助けにもつながります。
しかし、基本的な利用料金が「デイサービス」に比べて割高であるため必要最小限の利用におさえ、症状に回復が見られてリハビリ的な支援の必要が薄くなってきた場合には、近くのデイサービスに移行したい旨を担当のケアマネージャーに相談してみましょう。
「デイサービス」の中でも、個別に機能訓練を行っている「デイサービス」もありますし、活動の中にリハビリの要素を含む体操などを取り入れている「デイサービス」もあります。
(2)送迎サービス料金の削減
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「デイサービス」や「デイケア」の基本利用料金には、自宅と施設間の送迎サービス料金が含まれています。
必ず送迎サービスを利用しなくても良い場合があります。
ご自分で歩いて通うことができたり、ご家族が送迎され施設の送迎サービスを利用しない場合には、片道47円(単位)基本利用料金から減算してもらえることがあります。
これからも心身面、経済面で介護者の負担になることなく、適宜の介護サービスの利用を心がけていきたいものです。(執筆者:佐々木 政子)