海外投資家の日本株売りが年初から続いています。
統計で海外投資家の売買動向を確認すると、年初から3月第4週までで売越額は5兆円超えと、ものすごい規模です。
海外投資家の日本株買いが話題となった2013年の買越額が16兆円弱だったため、日本株の値動きの悪さを象徴しています。
特に、外国人投資家の持ち株比率が高い銘柄は、下落ペースも早いようです。
こんな記事を読むと読者様は
「米国株と比べて、日経平均はすぐに急落していく」
という不満が出てきます。
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目次
国際分散投資とは…
外国人投資家の日本株売りに対する理由は、色んなメディアで色んな意見が出てきますが、個人的には自国バイアスの影響だろうなと判断しています。
機関投資家は、個人投資家から多くの資金を集め、それを世界中の有望な会社に投資をします。
これを、国際分散投資と呼びます。
実際、理想的な分散投資のスタイルとしては、業種や個別銘柄を横断的に選択していく手法と、まず投資する国を決めてから業種や個別銘柄にアプローチしていく手法があります。
しかし、実際は国際分散投資を前提としながら、自国資産に大きく偏ったポートフォリオを保有する傾向のことを自国バイアスと呼びます。
自国バイアスが起こる理由
(2) 為替リスク
(3) インフレヘッジ
(4) 心理学的要因
(5) コスト
などがあります。
順番に説明すると…
(1) 情報の内外格差
外国人投資家は、自国の投資先に比べて、日本の株式に関する情報は入手しにくい状況にあり、また入手するにも余計なコストがかかります。
私たち日本人にとって、上場企業の決算資料や会社四季報を読むことは簡単ですが、日本語が読める外国人は少ないです。
それを訳してもらうには、時間とお金がかかり、これが情報の内外格差に繋がります。
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(2) 為替リスク
続いて為替リスクですが、日本人が日本株を保有するのに、為替を考える必要はありません。
購入も売却も日本円で決済できますが、外国人投資家の場合は外貨を日本円に交換して購入して売却後は日本円を外貨に交換する必要があります。
そのため、日本の株式は自国の株式に比べてハイリスクになります。
実際、2015年は120円台だった為替は、現在108円台と円高になっています。
(3) インフレヘッジ
国内株式の場合、自国のインフレに対する連動性が高いです。
しかし日本の場合はほとんどインフレが起こらないため他国に比べ価値の上昇がないと判断されます。
(4) 心理学的要因
投資家は自国に対して楽観的になりやすい傾向があり、自国びいきの判断をしやすいです。
これは個人投資家だけではなく、機関投資家も同じようです。
(5) コスト
私たちも証券会社を通じて日本株を売買する手数料に比べて、外国株を売買する手数料のほうが高いです。
機関投資家の場合は投資先を選択するにも、情報取得や調査のために別のコストがかかってきます。
私も自国バイアスの影響を受けています
以上、自国バイアスが起こる要因を5つ紹介しました。
私も自国バイアスの影響をすごく受けています。
理想的な形としては、世界中の有望株に分散すれば、日本の成長株以上に高い成長株はたくさんあるでしょう。
しかし、世界中の個別企業をチェックすることは時間的な制約だけでなく、情報を取得するための資料も極めて少ないです。
そのため保有している株式は日本株のみです。(執筆者:坂本 彰)