ゴールデンウィークも終わり仕事の日常に引き戻されると、つい今の生活に疑問を抱き、人生について考えさせられるものです。
特に現在はSNSを通じて、国内外を行き来しながら自由なライフスタイルを送っている人々の様子を垣間見る事ができるので、留学や海外移住を考え始める方もいるかと思います。
しかし実際に海外移住を検討し始めると不安や疑問が尽きません。
そして、その多くはお金に関係しています。
そこでこちらのコラムでは、今回から数回に分けて実際に海外移住をする過程で生じるお金に関する問題について、お話をしたいと思います。

目次
海外移住にまつわるお金の話
健康保険について
まず、現在勤めている会社を退職して海外へ移住する場合、日本国内での転職と同じように健康保険と年金について諸手続きが必要になります。
健康保険は会社を辞める際、任意継続するか国民健康保険に加入するかを選択します。 そして国外へ転出(住民登録を抹消)する時点で脱退する事になります
それまでにぜひ済ませておきたいのが「歯科治療」です。
海外では歯科治療は保険適用外になるケースが多いので、日本出国前には一通り悪いところは治療しておきましょう。
特に歯科治療は通院回数が多く日数を要しますので、早めに治療開始する事をお勧めします。
年金について
次に年金ですが、国民年金の加入は国内居住が前提ですので、仕事を辞めて海外に移住する場合は加入要件から外れます。
よって年金を支払う必要は無くなりますが、将来的に日本に戻って暮らす場合に未加入期間があると受給額が減る事を心配される方も多いでしょう。
その為、海外に暮らしても任意で国民年金の加入を継続する事も可能となっています。
しかし、移住先の国が日本と社会保障協定を発効している国であれば、日本の年金加入期間と移住先の国での年金制度加入期間を通算する事ができます。
つまり年金を受給するために最低必要とされる期間以上であれば、それぞれの国の制度への加入期間に応じた年金がそれぞれの国の制度から受けられるようになっています。
これは日本と移住先の国とで年金保険料の二重払いを防ぐ目的もあります。
現在、日本と社会保障協定を発効している国は、ドイツ、イギリス、韓国、アメリカ、ベルギー、フランス、カナダ、オーストラリア、オランダ、チェコ、スペイン、アイルランド、ブラジル、スイス、ハンガリーです。
これらの国へ移住される方は、具体的な手続き等を年金事務所や年金機構のウェブサイトで確認しておきましょう。
移住先の国の年金制度、受給要件についても事前に出来る限り調べておく事も大切です。
【実例】オーストラリアでは

ちなみに私が暮らすオーストラリアの場合、スーパーアニュエーションという退職給付制度(多くは確定拠出年金)に加入し、毎月給料の10%(2016年5月時点)を掛金として支払ます。
しかしその掛金を支払うのは、加入者(社員)ではなく雇用者(会社)である点が、日本と大きく異なっています。
ちなみに移住国へ渡航後でも、ビザ(査証)手続きの為に勤めていた会社から人事書類を取り寄せたり、何かと頼み事が生じる場合があります。
円満退社はもちろんですが、必要な時に頼み事ができるよう人事・総務担当者とは友好な関係を築いておいた方が良いでしょう。
次回は、海外引越から移住生活開始までについてお話します。(執筆者:安藤 裕也)