今回は、1棟物のアパマンへの初めての挑戦から、その後いかに所有物件を増やしていったかについて、お話したいと思います。
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目標はアパート経営
思いがけず最初に区分マンションを購入してから3年、初めて店子(たなこ:入居者)さんにご入居いただいてから2年ほどの頃です。
所有する4つの区分マンションでの賃貸経営を経て、ある程度不動産賃貸業の知識と経験が備わり始めていました。そのような状況の中、そろそろ自分も1棟物をと思い始めました。
年が明けて2012年1月のことです。インターネットで物件検索をしていると、ある物件に目が留まりました。なぜかというと、580万円という区分マンション並みの価格に驚きました。
それほどの低価格アパートが出回っているとは、当時は全く知りませんでした。この価格なら現金で購入できます。
私にとっては目からうろこでしたので早速業者と連絡を取り、翌日内見させていただくことに。
場所は群馬県桐生市、20㎡弱の1Kが4室あるアパートです。1台分の駐車スペースが確保できる物件です。式画地面積は160㎡ほど。
路線価は3万円ほどでしたので、路線価ベースの土地値が480万円です。私が基準としている「土地値が価格の7割以上」という条件はクリアしています。
想定賃料は2.3万円から2.5万円です。想定の表面利回りは19%ほどですので、悪くありません。
ひと通り現地を確認し業者さんからの説明を受けた頃には、私の気持ちは既に購入する方向で固まっていました。あとは価格交渉です。
安さの秘密は?
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内覧する前に、漠然と「550万円なら…」と考えていました。もちろん根拠はありません。実際に現地を訪れ、業者さんと話をするうちに、その物件は少々ワケありの物件だということが分かってきたのです。
所有者は新潟にお住いの事業家だそうで、事業展開に失敗し自己破産することになったとのこと。自己破産する前に、桐生のアパートが任意売却に出されたということでした。
任意売却については良く知りませんでしたが、とにかく価格交渉の余地がありそうでしたので、予定より20万円安い530万円での買付証明書を現地で手渡しました。
買付けの順番は1番手です。これで購入できれば、50万円の値引きということになります。
翌日業者さんから連絡があり、530万円でOKとのことでした。あまりにスムーズに私の希望額が通ってしまったので内心戸惑いましたが、何はともあれ、これで私もアパートオーナーになることができます。
任意売却物件は、所有者だけでなく債権者の同意があって取引が成立します。債務整理の一環で行われるので、実際は債権者の同意があれば取引成立という流れになることが多いです。
この物件の所有者はこの他にも不動産を所有していました。新潟にある豪邸やビルに比べると、桐生市のアパートは債権者にとってはオマケみたいなものです。
つまり債権者は、桐生市のアパートがいくらで売れようが関心がなかったわけです。
その後、債権者のルーズな対応もあって、さらに5万円の値引きに成功しました。それと引き換えに、決済が予定より3か月遅れましたので、その間に得られる筈だった賃料を考えると得をしたとは言えませんね。
引き渡し後、60万円程掛けて屋根と外壁塗装を行い、想定していた賃料で全室ご入居いただくことができました。
こうして、初めてのアパート経営をなんとか軌道に乗せることができました。次の目標は2棟目のアパートです。(執筆者:内田 陽一)