今回がシリーズ3回目になります。前回お話しした買付けを入れた群馬県大泉町の物件は、一体いくらで手に入れられるのか? その後ペルー人はちゃんと家賃を払ってくれるのか? これからが本当の勝負になります。
買付けは一番手。その日のうちに、こちらの希望金額をオーナーにぶつけてみてくれるとのことでした。
大事なのは決断力とスピード
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この日、現地を後にしてからの業者さんとのやり取りは、全て帰途での車中で行いました。
取り急ぎ購入の意思を電話で伝えて、帰宅したら正式な書面をメールにて送付するということにし、業者さんには売主さんとの交渉を始めていただくようお願いしました。
「これは!」と感じた物件購入の意思表示は、これくらいのスピード感で行うことをお勧めします。
皆さんも経験ありませんか? メールで送られてくる物件情報を見て、良さそうな物件だと思ってリンクをクリックしてみると「すでに取扱いを終了しました!」と表示されること。
中には物件を見ないで現金購入してしまう業者もいます。収益物件の購入においては、決断力とスピードがものを言います。
このように、こちらの真剣な態度を示すことで、業者さんも力になってくれます。業者さんが交渉してくれたおかげで、売主さんは私の希望額1,600万円での売却に同意してくれました。
そのうえ、ペルー人が滞納していた3か月分の家賃は、売主さんが保証してくれることになりました。つまり、私は滞納された状態を引き継ぐことなく、この物件の経営をスタートできることになります。
これは業者さんによる交渉のたまもの。業者さんには本当に感謝しなければなりません。
これからが大家としての腕の見せどころ
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無事契約および引渡しが済み、いよいよ大家としての手腕を発揮する場面です。入居の足かせとなりそうな3点ユニット。これをどうするかが最初の課題です。選択肢は以下の3つです。
2. 風呂とは別に、シャワーブースを増設する
3. 現状のまま賃貸する
風呂とトイレの分離工事には、1室あたりおよそ50~60万円の費用が必要になります。6室の空室に対して行うとなると、300~360万円の出費になります。
次に、分離工事を行った際の家賃設定を検討してみます。風呂トイレ別の物件でも、2DKが4万円では、この地域においては価格的な競争力がなくなってしまいます。
分離工事を行っても、当初想定していた3万円に5千円上乗せできるかどうかといったところです。そうなると、上乗せした家賃で工事費を回収するまでには10年もの年月を要すこととなり、十分な費用対効果がありません。
次はシャワーブースを増設する案です。しかし、この工事にも同じく50~60万円の費用が掛かるとのこと。分離工事とシャワーブース増設工事の間に、手間や部材の値段に大差がないようです。
同じ値段であれば分離工事を行うほうが得策なので、この選択肢は除外されます。
既存の3点ユニットでも、3万円の家賃なら他物件との競争に勝てると考えていましたので、とりあえず工事は行わず、3万円の家賃で募集してみることにしました。
すると、その作戦は功を奏し、3万円という低額の家賃に魅せられた多くのお客様からの反響をいただき、引渡しから2か月後の5月には満室に。家賃の安さが入居の促進に大きくかかわることを、このときは実感しました。
その後、購入前から住んでおられた前科のある入居者さんの逮捕や、ペルー人の夜逃げなどのトラブルが発生したことは、以前のコラムを読んでいただいた皆さんにとってはご存知のとおりです。
しかしながら地域の特性もあり、その後も低額の家賃が支持され続け、この物件では安定した入居率を確保できております。
2棟目が軌道に乗ったら、この勢いで近いうちに3棟目の購入を目指したいものです。3棟目購入のタイミングはいつやってくるのか、次回以降ご紹介しようと思います。(執筆者:内田 陽一)