いつまでも元気に暮らしていると思っていた親御さんも、いずれ、または突然介護が必要になることがあります。既に介護されている方にも必見の、介護に関する家族トラブル予防のコツをご提案したいと思います。
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寄り添いたくても共感できないもの
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親の介護が必要になると、ご兄弟がいる場合には誰が主介護者になるか家族会議で話し合いが始まります。それぞれに家庭の事情もあります。もともと同居されている場合も介護が必要となれば、兄弟の助けは借りたいものです。
親御さんに経済的な心配がない場合にはトラブルは早々起こりません。財産等も特になく年金暮らしで、介護費用が介護者の生活に影響を与え始めると精神的な負担が膨らみ、他兄弟への不満を抱えるようになってしまいます。
主介護者でない兄弟の場合、「経済的担当」として労力の代わりに介護費用を負担するという協力方法があります。
「経済的担当」と「介護担当」は温度差がある
親の介護も見守り程度で済んでいた頃は平穏に暮らせるものですが、問題なのは親の要介護状態が進行し始めた時です。半寝たきりで介助が必要、認知症が現れ目が離せない、対応が大変となってくると
と介護担当の兄弟の負担は計り知れない重さに変わっていきます。
経済的援助をしている経済的担当の兄弟も介護の専門職でない限り、親の身体状況を見て相当の介護が必要であることを想像することは難しいものです。
容易に介護に口を挟むと「私が介護を担っているのだから」とひとりよがりで頑張り過ぎてしまい、兄弟の関係性にも影響がでてくるようになります。
「お金なら出すよ」は禁句
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介護負担を察し、主介護者ではない兄弟も何か助けたいと思うのは当たり前のことです。1番無難なものはお金だとすぐに思いつきます。
しかし、介護負担を感じている主介護者にとっては冷たい言葉に受けとられてしまいます。私はあなたに雇われているのではないと考えてしまうご兄弟もいらっしゃいます。
主介護者は朝から晩まで、時には夜中も親の為に気も身も費やしているものです。実際に介護しなければ見えない苦労はたくさんあります。
苦労を上手く伝える余裕もなくなっていることもあります。そんな時に主介護者が欲しいものはお金ではないのです。
「何か必要なら用意するよ」
何か力になりたいという気持ちを分かってもらうには、まず困っていることに耳を傾けることが必要です。苦労も知らずに漠然とお金だけ用意するとなると温度差は余計に広がります。
大変な思いをしているという話を聞いてあげるだけでも、主介護者の気持ちは軽くなるものです。その上で、
と言葉添えが大切です。
親の介護の場合、同居していないご兄弟にもできることはいろいろとあります。介護にはお金は必要です。主介護者もお金の支援はありがたいと思う反面、お金だけで「介護をした」と思われたくないという意地との葛藤も消せない事実です。
介護費用を使い込むケース
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兄弟が支援している介護費用を主介護者が自分の生活費にあててしまうトラブルもあります。このような場合には、経済的な支援の立場から親がひとつでも自分のことが自分でできるような社会的な介護支援を用意することです。
例えば、デイケアやデイサービスに通所してもらうことで、親自身が自分でできることはやろうと生活にハリがでてきますし、デイサービス費用の支払いを事業者に直接払い込むことで親の介護支援としての使い方が明確にできます。
経済的支援とはいえ、親の介護費用を1円でも抑えることがてきれば負担は軽くなります。
介護予防を参考に情報を集め少しずつできることを増やしていくことは、将来的に介護費用削減につながります。ご兄弟で意見がぶつかり合うのはお互いが親御さんのことを大切に思っているからということをお忘れなく。(執筆者:佐々木 政子)