国民健康保険料(自治体によっては国民健康保険税)は、多くの自治体では住民税といっしょに6月頃に金額が決まって納付書が送られてきます。
この保険料(税)、計算方法から言って払う側がうまくコントロールすることも可能です。特に源泉徴収される特定口座をお持ちの方はよく考えておく必要があります。
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国民健康保険料(税)のしくみから考える
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国民健康保険は、お住いの自治体が保険者になります。「料率(税率)」、「保険料(税)の計算の仕方」、「サービス」に関しては、自治体が決めることができます。
このため、自治体による差があります。料率(税率)は介護保険も含めて10%前後の自治体が多いですが、計算の仕方を見ると、所得割・均等割だけのところもあれば、資産割・平等割も加わるところもあります。
所得割は、各個人の所得に料率(税率)をかける形で求め、均等割は各個人が所得に関係なく自治体が決めた額を払います。
東京23区は基本的に所得割・均等割だけですが、住居の固定資産税評価額に基づく資産割、世帯毎に自治体が決めた額を払う平等割も支払う自治体もあります(熱海市など)。
料率(税率)の低い自治体を選ぶことで節約できるのは勿論のことですが、あとは資産割がかかるところでは借家住まいのほうが有利になることも考えられます。平等割がかかるのであれば、世帯分離のようなことはしないほうが、保険料(税)は安くなります。
株式等の譲渡所得の申告不要制度を活用
株式のような金融資産を持っている人が国民健康保険料(税)を支払っている場合は、「証券口座の選び方」、「確定申告の仕方」によって所得割が変わります。
株式取引をする証券口座を源泉徴収ありの特定口座にしているのであれば、申告不要制度により確定申告の対象から除外することができます。
しかし、株式等の譲渡益や配当収入から引かれた所得税や住民税は確定申告により還付することができますので、申告の対象にすることもよくあります。ただし、申告した場合は株式等の譲渡所得に対しても国民健康保険料(税)の所得割がかかってきます。
保険料(税)を引き下げたいのであれば、確定申告の対象としない方がよいことになりますが、本当にそれが得なのかは一概には言えません。
基本的な所得税
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所得税は基本的に所得により税率が変わり、住民税の税率はほとんどの自治体で10%ですが、株式等の譲渡所得には一律所得税15.315%・住民税5%が分離課税されます。
過去の譲渡損失の繰越がある、株式等の譲渡所得から医療費控除などの所得控除が差し引けるなどの状況を考えます。例えばそのことで株式等の譲渡所得が0となり、所得割の料率(税率)が7%であれば、7%の保険料(税)を払ってでも20.315%分の所得税と住民税を還付してもらったほうが得です。
しかし、確定申告しても還付が見込めないケースであれば、確定申告の対象としないほうが得という判断になります。
このあたりは、保険料率(税率)や確定申告の状況によっても変わりますので、国民健康保険のことも考えて確定申告の計算をしておくことが重要です。
なお高額療養費制度を活用している方は、所得が上がると医療費負担の上限が上がってしまうので、確定申告の対象としないほうがいい傾向にあります。
なお社会保険料に関しては、株式等の譲渡所得は影響しないので、職場の社会保険加入者は単純に還付が受けられるかどうかで、株式等の譲渡所得の申告を考えればいいことになります。(執筆者:石谷 彰彦)