先日、リオデジャネイロオリンピック・パラリンピック幕を閉じました。4年後にはいよいよ東京オリンピックが開催されます。
そうした中、注目を集めているビジネスといえば「民泊」ではないでしょうか。本日は、この民泊について考えてみたいと思います。
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目次
そもそも民泊とは?
もともとは「民家に泊まること」を総じて民泊と呼んでいましたが、観光客に個人宅や投資用物件を有料で貸し出すビジネスを、いつからか一般的に「民泊」と呼ぶようになりました。
そうなったのも、「Airbnb」などのインターネット仲介サイトによる影響が大きいように感じます。
その結果、現在の定義では「民泊とは、宿泊用に提供された個人宅の一部や空き別荘、マンションの空室などに宿泊すること」とされています。
では、旅行者を民家に宿泊させるスタイルをとる民宿と民泊って何が違うの? そう疑問に思いませんか? これから、その疑問にお答えします。
民宿に旅館業法上の定義はありません。民宿は簡易宿所営業に該当するとされ、ホテル・旅館・下宿以外の宿泊料金を受け取って人を宿泊させる営業形態のことをいいます。
比較的小規模で家族経営、自宅が宿泊施設を兼ねた造りになっていることも多いことから、外見上民泊との区別が明確ではありません。
民宿と民泊の違いって?
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では、民泊と民宿ではどこが違うのか?
決定的な違いは、営利を目的としているかどうかにあります。
ご存知の通り、無料で泊まれる民宿などはありません。業として宿泊用の施設の準備が整った建物であって、通常の民家とは異なるということです。つまり、旅館業法の規制を受けているということです。
そうなると、次の疑問が湧いてきませんか? 「民泊では営利を目的としてはいけないの?」そう思いませんか?
実は営利を目的とした民泊は、現状では特定の地域を除いて禁止されています。
民泊の経営をするには、旅館業法に規定された要件を満たす必要がありますが、「個人宅を貸す」というビジネスモデルにその要件を満たすものはほとんどありません。その結果として、無許可の違法民泊が増加してしまっているというわけです。
そこで、従来の旅館業法の改正と並行して、この新しいビジネスモデル「民泊」に対する法律を制定する流れが生まれました。
新しい法律「民泊新法」
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2016年末までの制定を目指す民泊新法で定義されることとなる民泊は、旅館業法の対象外の宿泊施設。この法律ができることで民泊は、「旅館業法の民泊」、「民泊条例の特区民泊」に「新法の民泊」を加えた3種類となります。
2017年以降、民泊といえば一般的には「新法の民泊」を指すことになるでしょう。
では、民泊新法の制定で何が変わるのでしょう。民泊新法には、主に2つの特徴があります。
建物の用途
旅館業法で定められた民泊(簡易宿所)の建物は「ホテルまたは旅館等」である必要がありますが、新法民泊の建物は「住宅」も対象となります。
つまり、新法民泊では、ホテルや旅館が営業を許されていない住居専用地域での営業も可能となります。
年間営業日数の上限
もう1つの特徴は、年間営業日数に上限が設けられることです。厳しい規制を受けて営業している旅館業とのバランスを保つために、こうした上限が設けられるようになります。
上限を180日とする方向で調整が続けられています。こうして営業日数の上限が設けられることから、ビジネスや投資として採算をとるには何らかの工夫が必要になりそうですよね。
その1つとして考えられているのが、空き家の活用です。普段使用していない空き家を民泊に活用すれば、それまではお荷物でしかなかった負の財産が、お金を生み出す立派な財産に早変わりというわけです。
最後に
どうでしょう? 法律が整備されることで、社会問題化しつつある空き家にも可能性が見えてきましたね。
次回は、空き家の活用について掘り下げつつ、民泊が抱える課題について考えてみようと思います。(執筆者:内田 陽一)