介護が必要な高齢者。
介護と一口に言っても様々で、認知症による介護が必要な方も居れば身体的な介護が必要な方も居ます。
職員は利用者それぞれの性格や認知症の症状に合わせ、適切な声かけの仕方で介護にあたっています。
しかし、面会に行く家族や来客は他の利用者の病状や認知症状の度合いは把握できません。
今回は施設等への面会時、他の利用者への声かけなどで注意すべき点をみていきましょう。
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目次
会話の内容には配慮しましょう
介護施設などに面会に行くと、様々な方がいらしてつい足が遠のいてしまうという方も少なくないと思います。
せっかく高額な投資で入居された介護施設ですからご家族も気軽に訪問していただきたいと思います。
2~4人部屋などの多床室に入所している場合は特に同室の利用者に挨拶をしたり一緒に会話をする事があるかもしれません。
思いもしない単語や会話の内容がトリガーとなり相手が不穏になり、介護拒否や帰宅願望が強く出てしまうケースもあります。
家庭の事情で、配偶者や子が逝去していることを認知症を患っている本人には伏せている場合等もあります。
同室の方や同じ施設で暮らす方で顔見知りの利用者も居るかもしれませんが、安易に自分の知り得た情報を伝えるのは禁物です。
実際に配偶者が逝去して居る場合でも、利用者には「入院をしている」と伝えるケースもあります。これは家族の意志であり、施設側は家族からの依頼を受けてそのように対応します。
しかし、他の人間から「亡くなっている」と伝えられてしまうと、家族の意志に反する事になってしまいます。
あえて伝えない理由はそれぞれの家庭の事情であり、外部の人間が踏み込むべき部分ではありません。
また、伝える事によって本人の病状に影響を及ぼす可能性があります。
他利用者との上手なかかわり方
・ 内容が事実と違っても否定することは避ける
・ 利用者のプライベートには積極的には踏み込まない
という点がポイントとなります。
勿論、相手が話してくれた事に対しての相槌や談笑は問題ありません。
自分から「息子さんは何をしているの?」、「旦那さん・奥さんは家にいるの?」といった質問は極力避けた方が良いでしょう。
事例
自分の母の面会に行った際、同室の利用者との会話の中で出身地や居住している家の会話になりました。
しかし、その利用者の持ち家や土地は家族が処分しており、本人はそれを知らされていません。
その事情を知らずに「お家取り壊したんですね」と会話を持ち出してしまい、利用者は不穏になり「家を見に行かなくてはならない」と頻繁に無断外出をしようとしたりし、介護に支障が出てしまいました。
このようなケースも少なくありません。
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差し入れのコツ
面会時に家族の好きな食べ物を持参していく方も多いでしょう。
多の利用者に配ったり振舞うことは極力避けた方が良いでしょう
隣で食べているのに申し訳ないから…と思ってしまうかも知れません。
しかし、同室の方や近くにいる利用者の病状によっては、食事制限などを行っている方もいらっしゃいます。
どうしてもお裾分けをしたい場合やお礼をしたい場合は、まず介護職員や看護師に確認を取りましょう。
その方が食事以外の食べ物を口にして良いのか、食べてはいけない物やどの位の量であれば大丈夫なのかを聞く必要があります。
生ものや日持ちしないような食べ物は特に注意が必要です
基本的に施設では食中毒等の感染症を避けるため、生ものなどの差し入れは遠慮してもらう場合が多いです。
誤嚥の可能性を念頭に置く事が大切です
職員の把握していない食べ物を目の届かないところで口にし、喉に詰まらせてしまうケースもあります。
最悪の場合命に関わることですので、迂闊に食べ物等を振舞う事は避けた方が良いでしょう。
飲食を共にする際でも、嚥下状態が良くない方の場合は職員に付き添って貰うなど、誤嚥対策が必要です。
まとめ
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利用者同士や、多の利用者とのコミュニケーションは大切な事です。
しかし、コミュニケーションのとり方を間違えてしまうと相手の利用者の病状悪化や、不穏から命に関わるような問題行動に発展する場合があり、その場合でも責任を問われるのは施設側になってしまいます。
職員は利用者の状態を把握していますので、なにか行動を起す前には職員に一言声をかけておくのが良いでしょう。(執筆者:佐々木 政子)