介護施設への入所のポイントの一つでもあるのが施設の雰囲気です。
働く職員の対応ひとつでその施設への印象がガラリと変わってしまう事があります。
近年、有料老人ホームでも入居金等のハードルが低くなってきましたが、決して安い買い物ではありません。
入居してから後悔しても転居する資金が無いという方も少なくありません。
自分の城になる場所ですからしっかりと目利きし手から安心して入居して頂きたいと考えております。
今回は施設入所をお考えの方に入所してから後悔しないための施設見学時の職員や施設のチェックポイントをお伝えしたいと思います。
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目次
言葉遣い
人生の諸先輩である利用者。認知症が強く、職員の言葉が理解できない方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、わからないからと言って強い口調で接して良いわけではありません。
・ 家族が面会に来ている利用者には優しく声かけをし、別室では大きな声で対応したりしてはいないでしょうか。
・ 楽しく談笑している時の軽いタメ口は黙認されるかもしれません。しかし常にタメ口、友達感覚で接してはいないでしょうか?
介護職員としての自覚を持ち、節度ある距離感での対応が出来ているかが重要です。
清潔感
施設によっては制服の着用を義務付けているところと、アットホームな雰囲気作りのために私服での勤務を行っている場合があります。
・ 介護職員である前に社会人としてのマナーである身だしなみは、整っているでしょうか?
清潔感に欠けると利用者から介護拒否をされる場合があります。
職員の活気
・ 業務に追われ険しい顔で走り回っては居ませんか?
・ 利用者の前で怒鳴ったり、職員同士の揉め事が外部の人間から見える場所で起こっていませんか?
利用者に接する際は、笑顔で視線を合わせて傾聴する体勢をとるのが基本です。話を聞いているのか居ないのかわからない態度では利用者も不安になってしまいます。
日々の業務の忙しさの中でも、笑顔が耐えない現場は職員同士のコミュニケーションも円滑に行われていると言えるでしょう。
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利用者の表情
・ 俯いて暗い表情で下を見ている方ばかりではありませんか?
日ごろから、職員などとコミュニケーションがとれている利用者の方は、静かに過ごされていても穏やかな表情でいらっしゃるものです。
お一人でいても表情に安心感が見える方と、うつむいたりこわばった表情の方とどちらが良い日常を過ごされているのかお分かりいただけますよね。
見学されたときの雰囲気がその施設の日常の雰囲気だと思っても良いといえます。日常生活をケアしているスタッフの雰囲気は入居されている方に映ります。
プライバシーなどの問題でなかなか利用者と関われない場所も多いのですが、ぜひ利用者さんにも意識してみてください。
施設全体の雰囲気
見学時はアポイントを取り来設することが多いかもしれませんが、突然の訪問でも嫌な顔をせずに対応してくれるかどうかしっかり見てみましょう。必ずではありませんが、最初の対応がその施設のケアの質に繋がる事もあります。
・ 建物の中は明るく利用者の生活に支障がないでしょうか?
・ 廊下や階段は広くスペースが取られ、往来でぶつかる事がないように配慮されているでしょうか?
廊下や導線に物が雑多に置かれたりしているようでは利用者の歩行の妨げになり転倒などの危険が生じます。
・ 施設内外に四季の移り変わりを感じる事ができるものはあるでしょうか?
施設での催し事や季節の行事に関する情報が掲示され、いつでもだれでも見る事が出来るようにしている施設も多いです。
こんな事がありましたね、と職員や利用者同士で会話を弾ませ明るい雰囲気が自然と出ます。
まとめ
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施設それぞれが利用者のため日々努力を惜しまずに介護にあたっていると思います。新しく入所を考える家族や利用者にとってそれが合わない場合も十分考えられます。
どのような方針で利用者の生活をサポートしていくのか、どのような介護方針で介助にあたっているのか、担当者からの説明だけでは見えない部分はたくさんあります。
パンフレットでみた設備やスペースは実際にはどのようなものなのか、職員はどのように利用者に接しているのかは紙や写真ではわかりません。
ですので、施設入所を検討する方は是非、自分の足で施設へ訪れ、自分の目で、耳で、肌で、施設の雰囲気を感じる取る事がとても大切です。(執筆者:佐々木 政子)