親の介護を理由に職場を離職する事例が現在増えてきています。
今現在住んでいる家に親を呼ぶのではなく、もともと馴染みのある地方の実家での介護を決めた場合、仕事を転職することが一般的です。
現在の職場に介護に対する理解が深く、インターネットやパソコンなどを介して遠方から業務に携わることができるように配慮してくれる会社も出てきてはいるものの、すべての職種に当てはまるというわけではありません。
年齢や生活環境などを考慮して、一から仕事を探すことになります。
そこで仕事が見つかるかどうかなど、今の仕事を辞める前に考えてみましょう。
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目次
仕事に対するこだわりが強い場合は注意が必要
現在働いている仕事を辞めた時、再び同じような職種を探したい場合は注意が必要です。
都心と地方では人口密度ももちろん異なりますが、都心で募集している職種が地方でも同じように募集しているとは限りません。
「現在の仕事と同じでないとできない」というこだわりがある場合、地方の実家周辺では仕事が見つからない可能性があります。
仕事に対するこだわりがない場合には、地方でも求人は見つかる可能性が高いでしょう。
特に介護に関する求人は比較的多く、他職種からも転職している方が多いので、地方でも募集が出ていることが考えられます。
介護中の収入源はどこにあるか
現在の仕事を退職し条件を満たしていれば、失業保険の申請をおこなうことが可能です。
介護を理由に退職する場合は自己都合退職になりますが、「特定理由退職者」という扱いになります。
そのため、通常の自己都合退職だと約3か月の待機期間が必要ですが、特定理由退職者の場合は待機期間なしで失業保険を受けることができる可能性があります。
そのままずっと親と同居し、できる限りの在宅介護をおこないながら生活を続ける場合、収入源は親の年金に頼ることになります。
自治体によっては、独自に在宅介護をおこなっている家族に対して手当を支給してくれることがあります(家族介護慰労金など。【例】大阪市)。
ただ同居していれば支給されるというわけではなく、いくつか条件があります。
被介護者が介護度4、もしくは5であり、世帯全員が市町村税非課税対象者であること、介護サービスを過去1年以上利用していない、などです。
もちろんいろいろと条件はありますが、お住まいの地域が実施している制度をあらためて確認し、自身の過程が条件に該当する場合には申請をおこなうことをおすすめします。
転職時には在宅介護に理解のある職場を探そう
転職をおこなう時、親の状態によっては仕事をフルタイムで勤務することが難しい場合もあります。
早く就職を決めたいがために、在宅介護の現在を説明せずに入社してしまうと後にトラブルになる可能性があります。
在宅介護をおこなっていることを面接時にはしっかりと話しておきましょう。
もし上司にも在宅介護の経験がある場合、介護の大変さなどを知っているため融通を利かせてくれたり、配慮をおこなってくれることも考えられます。
お互いにしっかりと現状を話し合った上で、双方の納得のいくまで話合うことを心掛けましょう。
介護を終えたあとの身の振り方を考えよう
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ここで今一度じっくりと考えておいてほしいことがあります。
現在の仕事を辞め、地方に戻り、親と同居して介護をおこない、介護を終えた「その後」はどのように行動したいのかを考えてみましょう。
親の年金を介護費や生活費に充てていた場合、親が亡くなったあとは年金の支給も終了しますので収入源が無くなるということになります。
その後の生活をそのまま地方でおこなうのか、再度都心に戻って仕事を探すのかなどを事前にしっかりと計画しておくことが大切になります。
将来まで一度イメージをしてみることで、新しい答えが見えてくることでしょう。(執筆者:佐々木 政子)