◆2017.12.5追記◆
本記事でETFと投資信託を比較しております。
ETFはドルベース、投資信託は円ベースであり、為替による価格の違いが発生するため必ずしも同じ成果となるとは限りません。
その旨の記載がなく、誠に申し訳ございませんでした。
あくまでも値動きの目安としてお考え頂けましたら幸いです。
本件についてご指摘頂きました読者様には心よりお礼申し上げます。
目次
マネーの達人LINEより質問(抜粋)
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来年から積立NISAを始めてみようと思っており、先日SBI証券で口座の開設手続きを実施し情報を集めてます。
個人的には下記の2点が気になってます。
・楽天・全世界株式インデックス・ファンド
・楽天・全米株式インデックス・ファンド
楽天のインデックスファンドは実績がなさそうだけど、内容を見ると良さそうに見えます。
どうなんでしょうか?
投資信託を選ぶときの大きなポイント
投資信託を選ぶときの判断基準についてはいくつかありますが、中でも大きなポイントは下記の4つかと思われます。
1. 投資対象… 国内株式、海外株式、債券など
2. 投資方針… 指数に連動した運用を目指すインデックス型、指数を上回ることを目標とするアクティブ型など
3. 実績… 過去の運用実績
4. コスト… 購入手数料、信託報酬など
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楽天・全世界株式インデックス・ファンド
上記の基準に従い、楽天・全世界株式インデックス・ファンドについて分析します。
1. 投資対象
全世界の株式が投資対象です。米国・欧州・日本などのほか、中国やインドといった新興国の株式へも投資します。
大型株だけでなく中小型株も投資対象となるのが特徴です。
2. 投資方針
インデックス型のファンドで、FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス(円換算ベース)に連動する投資成果を目標としています。
実際の投資対象はこの指数に連動した「バンガード・トータル・ワールド・ストックETF」です。
3. 実績
この投資信託自体は2017年9月29日に設定されたばかりで、参考にできるほどの過去の実績はありません。
しかしインデックス型の場合は、連動を目標とする指数や実際に投資しているETFの推移を過去の実績として考えることもできます。
ETFの状況は下記で確認できます。
バンガード・トータル・ワールド・ストックETF
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過去1年間の平均リターンは約24%、3年間では約8%、5年では約11%です。
※ただし、こちらはドルベースのETFとなるため、為替ヘッジなしの円ベースの投資信託と全く同じリターンになるとは限りません。
モーニングスターの検索を利用し、同様の投資信託のリターンを見てみました。
該当投資信託:6件
過去3年の平均リターン:約7~9%
過去5年の平均リターン:約17~20%
過去3年でみれば、楽天の投資信託が実際に投資しているETFも同様の結果ですが、5年でみると他社の投資信託の方が、10%前後リターンが大きいという状況です。
ただし、他の投資信託は世界のすべての株を対象とするのではなく、設定した「テーマ」に沿って投資対象が絞られています。
分散性という点では楽天の方が優れていますし、リターンから判断すれば他社の方が優れているといえます。
4. コスト
信託財産留保額:なし
信託報酬:0.2396%
上記のモーニングスターでの検索結果から見ると、「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」が最も低コストでした。
楽天・全米株式インデックス・ファンド
上記の基準に従い、楽天・全米株式インデックス・ファンドについて分析します。
1. 投資対象
米国の大型・中型・小型株を投資対象としています。こちらのファンドも小型株まで含まれているという点が大きな特徴です。
2. 投資方針
インデックス型のファンドで、CRSP USトータル・マーケット・インデックス(円換算ベース)に連動する投資成果を目標としています。
実際の投資対象はこの指数に連動した「バンガード・トータル・ストック・マーケットETF」です。
3. 実績
こちらの投資信託も実績はありませんが、ETFの推移から過去の状況を知ることができます。
バンガード・トータル・ストック・マーケットETF(ドルベース)
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過去1年間の平均リターンは約24%、3年間では約10%、5年間では約15%です。
※ただし、こちらはドルベースのETFとなるため、為替ヘッジなしの円ベースの投資信託と全く同じリターンになるとは限りません。
こちらもモーニングスターで検索してみました。
該当投資信託:20件
過去3年の平均リターン:約9~14%
過去5年の平均リターン:約22%
過去3年で見れば似たようなリターンですが、5年で見ると他社の方が、10%強リターンが大きいという結果です。
ただ北米株に絞った投資信託はまだ年数の浅いものが多く、5年のリターンが示されているものは1件のみ(SMTAM ダウ・ジョーンズインデックスF)でした。
4. コスト
信託財産留保額:なし
信託報酬:0.1696%
他の20件の投資信託の中で、やはりこちらが一番低コストでした。
どう判断するか
この2つの投資信託には共通する大きな特徴が2つあります。
共通点1 大型株・中型株のほかに小型株も投資対象としている
同様の投資信託を見ても、大型株から小型株までを投資対象としたものは見られませんでした。分散性を重視されるなら非常に魅力の高い投資信託と言えます。
共通点2 コストが非常に低い点
いずれも購入手数料はありません。
毎月積み立てるということは、毎月購入するということなので、購入手数料がないというのは大きな魅力です。
また売却時に差し引かれる「信託財産留保額」もありません。信託報酬は他の投資信託に比べて非常に低く、投資家にとって大きなメリットです。
単純に考えて、年間10%のリターンを出しても、信託報酬で年間2%かかっていたとすれば、実質のリターンは8%となってしまいます。
ここからは個人的な見解です
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今回の2つの投資信託は、積み立てをする投資信託として非常に魅力を感じました。
私は積み立てをする投資信託で、
と考えています。
預貯金より効率よく、今加入している子どもの学資保険よりリターンがよければもう十分すぎるほどです。
用途の決まっている資金の場合は、大きなリターンを求めるより、とにかく変動リスクを減らして運用することが重要と考えます。
そういう点では、特に「楽天・全米株式インデックス・ファンド」は希望に沿った投資信託だと思いました。
最終的には、読者様がご自身の資金の性質などを踏まえてご判断されることにはなると思いますが、参考にしていただけましたら幸いです。(執筆者:高橋 珠実)