※本サイトは一部アフィリエイトプログラムを利用しています

注目記事

「パートで働く主婦は、個人型確定拠出年金(iDeCo)を活用すると、老後資金720万が準備できる!」と筆者が強くおススメする理由。

税金 年金
「パートで働く主婦は、個人型確定拠出年金(iDeCo)を活用すると、老後資金720万が準備できる!」と筆者が強くおススメする理由。

iDeCoをもっと活用しよう


2017年1月より、会社員の妻(いわゆる第3号被保険者)も個人型の確定拠出年金(iDeCo)に加入できるようになったことはご存じの方も多いでしょう。

確定拠出年金は、その掛金が全額所得控除になるのが一番のメリットである。

なお、所得控除の種類は年金の掛金だから社会保険料控除になると思われがちだが、実際は「小規模企業共済等掛金控除」として扱われる

とにかく、自身の老後の備えをしながら毎年税金の一部が戻ってくる(所得税還付)という魅力的な制度だから使わない手はない。

夫の配偶者控除があるから関係ない

夫の配偶者控除から外れないようにパート年収を103万円に抑えている主婦の人たちは、そもそも所得税を払っていない。

「所得税が戻ってくるメリットがないのなら、個人型確定拠出年金に加入する意味はないのではないか?」

と考える方もいるだろう。

でも、それは浅はかな考えというもの。逆転の発想をしてもらいたい。

筆者の考えを聞いて欲しい

例えば、あと月額2万円収入を増やすよう頑張って働いて、その分を確定拠出年金の掛金に充てて所得控除を受けることを提案したい。

年間の税金の仕組みが分かると、提案のメリットが理解できるだろう。

以下に具体例で説明しよう。

現在、パート年収を103万円に抑えている場合

パート収入103万円 − 給与所得控除65万円 − 基礎控除38万円 = 課税所得0円

よって、所得も税金も0円になる。

月額2万円、年間24万円収入を増やすため多く働いた場合

現状の控除額は、給与所得控除と基礎控除を合わせて103万円だ。

年間収入127万円(103万円+24万円)から控除額を差し引くと課税所得は24万円となり、税率5%を掛けると所得税1万2,000円の税負担が発生する。

便宜上、住民税における課税所得を所得税と同じ24万円と仮定し、一律の税率10%を掛けると住民税は2万4,000円となる。

住民税の計算について

住民税の計算を正確に行えば、基礎控除の金額が所得税における38万円ではなく33万円であるため、課税所得を正確に計算すると29万円(収入127万円−給与所得控除65万円−基礎控除33万円=29万円)になる。

よって、税率10%を掛けると支払う住民税は2万9,000円と計算されるが、分かりやすい例を示すために、上記のような便宜的な仮定のもと計算した

所得税・住民税を合計した年間の税額は3万6,000円

結果として、年間収入を24万円増やした一方で、3万6,000円の税負担が発生してしまう。

そこで、多く働いて得た増収分24万円をそのまま自分自身の老後資金として「確定拠出年金」の掛金に充てれば、全額が所得控除(小規模企業共済等掛金控除)となる


結果、課税所得はゼロで税負担は発生しない

年間収入127万円 − 給与所得控除65万円 – 基礎控除38万円 – 小規模企業共済等掛金控除24万円 = 課税所得0円

したがって、パートで年間24万円多く収入を得ても、同時に確定拠出年金に加入することで税金(上記の計算例では3万6,000円)を支払わずに済むというわけだ。

老後資金720万円確保

現在30歳の主婦であれば、60歳まで年間24万円税負担なく貯金をするイメージで、720万円の老後資金が準備できることになる。

実際の確定拠出年金では、投信などで運用する場合が多いので、運用益&運用益非課税の恩恵を受けて老後資金は720万円より増えることが十分に想定される

月額2万円のパート収入アップであれば、それ程無理なく働けば十分可能ではないだろうか。

昨今の人手不足の状況であれば、雇用主の方からパート時間延長を依頼してくることも多いだろう。

確定拠出年金のメリットは将来の受け取り時にもある

60歳になるまでに積み立てた720万円(運用益が全くない場合)を受け取る際、このお金にも実は税金がかからない

これは退職所得控除を受けられるためで、30年間iDeCoに加入した場合は、控除額は1,500万円になる。

60歳以降に受け取る金額は、たとえ運用がうまくいって払い込んだ掛金の2倍に増えたとしても全額が非課税となるのだ。

40万円 × 20年 + 70万円 ×(30年-20年)=退職所得控除1,500万円
最終的に個人型確定拠出年金/iDeCoで運用益が出るかどうかはともかくとして、パート収入が毎月2万円増えた分をiDeCoの掛金に充てることで、

・ 長期にわたって自身の老後資金を準備できること

・ 税金メリットが受けられるだけでなく、ライフプラン上も有効であること

を主婦の皆さんにはぜひ知ってもらいたい。


朗報

年収103万円を超えてしまうことで、世帯主である夫が配偶者控除(38万円)を受けられなくなるというデメリットがあった。

しかし2018年(平成30年度)分からは、世帯主が配偶者控除額38万円を受けられる配偶者の範囲が拡大されて、配偶者のパートによる年間収入が150万円(所得85万円)までとなる

つまり、これまでの103万円の上限を気にせず150万円まで収入を増やしても夫の配偶者控除や税負担に影響がなくなるのだ。

2018年は主婦がパート収入アップとiDeCo加入で老後資金の準備を始める好機となるといえよう。

唯一の注意点

従業員501人以上の会社に勤めるパート社員は、2016年10月より年収106万円以上で社会保険加入が義務となったので、パート収入が年間130万円以上の収入になると、妻自身の社会保険料負担が発生してしまうことだろうか。

この場合、より頑張って働いて社会保険料の負担をカバーすべく、年収150万円くらいを目指してみてはどうだろうか

その際、iDeCoを有意義に活用するため、毎月の掛金を上限2万3,000円(年間27万6,000万円)に設定し60歳まで積み立てをする。もちろん、掛金全額の所得控除をしっかり受けよう。

ただし、月2万円の収入増加なら年収は127万円になるので年間130万円未満に収まり、妻が社会保険料(国民年金保険料・国民健康保険など)を支払う必要はない

ムリなく働き、メリットを享受!


税制や社会保険への加入義務などを気にして、主婦の働き方が事実上制限されるという日本の制度は、全くもって不健全といわざるを得ない。

しかし主婦が無理のない範囲で働き収入を得て、税金メリットを享受しながら老後資金の準備を早くから始めるためには、まさに

「iDeCoを活用しなければ損だ!」

といえよう。(執筆者:完山 芳男)

関連記事:iDeCoをやるなら、おススメの証券会社は?

《完山 芳男》
この記事は役に立ちましたか?
+1

関連タグ

完山 芳男

完山 芳男

独立系FP事務所 FPオフィスK 代表 米国公認会計士(ハワイ州)、日本FP協認定CFP(国際上級資格)、1級ファイナンシャルプランニング技能士(国家資格) 慶応義塾大学商学部卒業。大手自動車メーカーや外資系企業等の経理財務部勤務を経て、カリフォルニア大学バークレーへ1年間留学し、ファイナンスを履修。帰国後、米系・欧州系企業において経理責任者を務める。2004年愛知県名古屋市にて、独立系FPとして事務所を開所し現在に至る。 寄稿者にメッセージを送る

今、あなたにおススメの記事

特集