現在はあまりメジャーではありませんが、医療保険やがん保険には「夫婦型」や「家族型」といった商品があります。
これらは、一口の契約で夫婦、または家族全員を保障の対象者とする保険です。
一見お得そうな夫婦型・家族型保険。
これらにはどのような注意点があるのか、確認してみましょう。
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目次
夫婦型保険・家族型保険とは
夫婦型保険や家族型保険は、保険の対象となる者(被保険者)を複数人指定することができる保険です。
主な被保険者のことを「主たる被保険者」、その他の被保険者を「従たる被保険者」と呼びます。
戸籍上の夫婦であること(事実婚を認める場合もあります)、
【家族型保険の子どもの保障の場合】
一定以下の年齢であること
同一戸籍であること(結婚や養子縁組などをしていない)など
が加入の条件となります。
夫婦型保険・家族型保険のメリット
保険料を抑えられる
夫婦型保険、家族型保険の最大メリットとして、保険料が割安であることが挙げられます。
個人型の保険にそれぞれが契約するよりもかなり保険料を抑えることができるでしょう。
夫婦型の場合、従たる被保険者の契約年齢が保険料に考慮されない点も、大きなメリットです。
また、子どもが何人いても同じ契約・同一保険料で保障されるため、子どもの多い家庭にとってはかなりの節約が見込めます。
保険料払込免除特約(特則)があれば主たる被保険者死後も安心
保険料払込免除特約(特則)の付いた契約であれば、主たる被保険者が死亡した後は保険料を払い込まなくてもその他の被保険者の保障を継続することができます。
夫婦型保険・家族型保険のデメリット
従たる被保険者の保障が制限されている
従たる被保険者の保障は、主たる被保険者の60%となる契約が多いので、注意が必要です。
例えば、主たる被保険者が日額1万円の契約なら、従たる被保険者は日額6千円の保障となります。
家族構成の変化に弱い
3組に1組が離婚すると言われる現代。
離婚をすると、従たる被保険者の保障はまったくなくなってしまいます。
死別の場合は、前述したように保険料払込免除特約(特則)の付いた契約であれば継続できますが、付いていなければ契約は消滅します。(ただし、古い保険の中には、主たる被保険者が死亡した後もそれまでと同額の保険料で従たる被保険者の保障を継続できる保険もありました。)
見直しが難しい
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保険を見直ししようと解約すると、従たる被保険者の保障も同時に消滅します。
このとき、従たる被保険者の健康状態が悪ければ、新たに保険に加入することもできず、保障が一切なくなってしまいます。
加入できたとしても、年齢を重ねた分保険料が割高になり、トータルの保険料としては高くなってしまうおそれもあります。
夫婦型保険、家族型保険は、柔軟性に欠けることを認識した上で、加入を検討しましょう。
個人型契約がおすすめ
保険料のお得感ばかりに目を向け、デメリットを知らずに契約しては、のちのち後悔する結果にもなりかねません。
将来のことは誰にもわかりませんから、自分の保障は自分で備えておくのが一番の対策と言えるのではないでしょうか。(執筆者:近藤 あやこ)